第97章 *接触アパシー(フロイドの夢)*
シルバー『見渡す限り海で、陸地も見えない。夢の主はどこにいるのだろう』
その言葉にジャミルは、頭に浮かんだ人物たちに若干嫌そうな面持ちで眉をひそめた
ジャミル『海といえば、思い当たる人物が数名いる。そして、その全員に共通するのは..』
ゴンッ!
グラグラグラ..
突然、海中からの衝撃でボートが大きく揺れ動いた
シルバー『なんだ!?ボートに何かがぶつかったぞ』
ドンドンッ!!
グリム『ふなあぁ!グラグラするんだゾ!海に落ちちまう!』
『ぁぅぅ..怖い』
ユウ『ちょ、何なわけ!?』
オルト『ボートの下に巨大な霊素反応あり!猛スピードで再び接近中!』
ユウ『まさかサメ!?それともクジラ!?』
『(あれ?この魔力の匂い..)』
微かに海中から漂ってきた匂いにレイラは覚えがあったものの、状況が状況で思い出す暇はなかった
ジャミル『このボートを転覆させようとしているのか!?』
グラグラグラッ!!!
その時、一番大きな揺れがボートを揺らし、あまりの傾きにボートは片側へと倒れ始める
ジャミル『うわっ!まずい、このままじゃ..』
『『『うわああああ〜〜!!!』』』
ついにボートは完全に転覆し、為す術もなく一同は海の中へと投げ出された
珊瑚の海-難破船
沈んだ海の中は薄暗く、周りには過去に沈んだであろう難破船が何隻もあり、テレビで見るような鮮やかで華々しい景色とはかけ離れていた
グリム『がぼごぼげべべ!息ができねえんだゾ〜〜!』
『ん、ぅぅ..』
ユウ『(やばい、息できなくて死ぬ死ぬ死ぬ!!)』
シルバー『落ち着け、みんな!敵の襲撃に備えて...ん?水の中なのに、普通に声が出ている?』
陸と変わらない声の通り、そして息継ぎしても全く苦しくない。水中での浮力による体の浮き沈みを除けば普段と全く変わらない呼吸のしやすさに首を傾げると、全員の体一人一人をシャボン玉のようなものが包んでいた
セベク『本当だ!呼吸ができるぞ』
ジャミル『体が巨大なシャボン玉のようなものに包まれている。これは..?』
イデア『魔導ナノマシンで作られたエアドームだよ』