第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
痛がる様子にため息一つはくと、ジャミルはすぐさまハンドタオルを召喚し、その上から魔法で小さな氷をいくつか乗せると、即興の氷嚢を作成しカリムへと持たせた
ジャミル『ほら、氷嚢だ。よく冷やして安静にしておけ』
カリム『サンキュー、ジャミル。
..くそ〜。お前はピンピンしてるのが、なんか腹立つぜ』
ジャミル『悔しかったら、次までに攻撃に体重を乗せる方法を習得しておくんだな』
カリム『次。次か..へへ。その言葉忘れんなよ、ジャミル!』
ジャミル『では、カリムに代わって次の夢には俺が同行しよう。誰の夢に渡るつもりなんだ?』
オルト『ふふふ、内緒。渡ってみてのお楽しみだよ!さて、それじゃあ移動の前に、ジャミル・バイパーさんのダミーデータを出力して..と』
ホログラムのジャミルが映し出されると、自分の隣に立つ瓜二つの存在に、眉をひそめ顔をしかめた
ジャミル『データとはいえ、自分のコピーがこうも簡単に作られると複雑な気分だな。こいつ、俺の姿で変な行動をしないだろうな..!?』
オルト『大丈夫!彼はこの夢のジャミルさんの設定に忠実に成金っぽくて偉そうな行動しかしないはずだよ』
ジャミル『ぐぅっ..!考えるだけで嫌すぎる。それを見る前に、さっさと出発しよう!』
シルバー『分かった。では、これより夢を渡る。みんな、俺の腕に掴まってくれ』
その言葉にヴィル、カリムを除く全員がシルバーの元に集まり腕に掴まる。しかし、レイラはここで別れなければならない二人を寂しげに見つめると、手を離し二人の元へと走っていく
『ヴィルさん、カリムさん..』
ヴィル『ちょっとあんた。別れの挨拶をしに来てくれるのは嬉しいけど、そう簡単にシルバーから離れるんじゃないわよ』
置いていかれでもしたらどうするの、と込み上げる不安に眉をひそめながら、駆け寄ってきたレイラの額を小突くと、優しくその身を抱きしめた
ヴィル『無茶して怪我したら、承知しないわよ。また会った時に、ユウに事細かく聞くから』
『ん..』