第96章 *盛況アライブ(ジャミルの夢)*
覚醒と同時に、寮生やアズールの闇は姿を消し、談話室や空は元の色を取り戻していた
痛みの余韻が残る頭を押さえながら、ジャミルはようやく思い出した苦くも大切な記憶を、自嘲的な笑みで受け止めた
ジャミル『はぁ、はぁ、はぁ..
ふ、はは..あはははっ..そうだった。俺はあの日、お前を追い出すことに失敗した..あんなに悔しかった失敗を..なんで忘れていられたんだろう』
カリム『やったぜ!ジャミルが目を醒ました!』
その場で飛び上がり、喜びを全身で表すカリムの姿に、ヴィルたちもようやく安堵の笑みを浮かべた
『良かった..目、醒めてくれた』
ユウ『ちょっと強引なやり口だったけどね』
ジャミル『ふん..あれだけ何発もくらえば目も醒める』
カリム『いいパンチだったろ?初めての取っ組み合いは、オレの勝ちってことだな!』
ジャミル『は?不可抗力で中断されただけで、俺は負けてはいないが?』
カリム『あ〜〜っ、お前、負けた後に"本気出せてなかった"ってのはズルいだろ!現実に戻ったら、決着つけようぜ』
ジャミル『あの不毛な取っ組み合いのか?絶対にごめんだね』
さすがに現実世界で、仮にも主であるカリムと殴り合うのは、自分の首を締めると同義だと心底嫌そうに首を横に振った
グラグラグラ...
和やかな雰囲気を裂くように地が大きく揺れだし、全員に緊張が走る
ジャミル『!?地震!?』
カリム『なんだ!?あちこちにでかい亀裂が!』
シルバー『まずい!夢の崩壊が始まった』
カリム『どういうことだ!?』
オルト『ジャミルさんの夢にカリムさんが存在していることで..この夢のジャミルさんは、幸せな結末が迎えられなくなったんだ』
ヴィル『あのまま突き進んでも、ジャミルがハッピーエンドを迎えられたとは思えないけどね』
イデア『そこに突っ込んでる場合じゃないから!この夢はすぐ深淵に飲み込まれる。急いで離脱して』