第95章 *灼熱シーク(カリムの夢)*
ジャミル『前にユウから話は聞いていたが、改めてお前の口からさっき話してくれただろ。親に蔑まれて、傷つけられて..そんなお前の気持ちを全部分かるとは言わない。幸運なことに、その手の傷は受けなかったからな。
俺よりも辛い思いをしたお前が、自分の過去を話してくれたんだ。なら、それに応えて俺も話した。それだけだ』
『..優しいね』
ジャミル『優しくないさ。ただ..俺だけが言わないのは不公平だろ?』
一層強く抱きしめられ若干の苦しさを感じるながら、その腕から伝わる今まで抱え続けてきた思いを受け止める
少しでも彼の心が楽になるようにと匂いを放ち、礼に返ってきた瞼へのキスを心地よく受けた
『ジャミさんは、カリムさんに親友とか甘いこと言わない。優しくて、ちょっと意地悪で..いつもカリムさんのことで悩んでた。でも..あの人はもう遠、慮しないって言ってた。意地悪なことも、ちょっとワルいことも、1番になることも、カリムさんにも。そんな人が今になって親友とか、信じるとか...カリムさんに"優しい"こと言ったりしない!』
必死に言葉を紡ぐレイラに大きく頷くと、続けてヴィルが口を開いた
ヴィル『本音で語り合えるですって?あたしの知ってるジャミルとそいつは、随分違うようね。澄ました顔の下では、虎視眈々と前を行くものの首に食らいこうと狙っている。ギラついたハングリー精神を感じ取ったからこそ..あたしはジャミルをNRCトライブのメインボーカルに選んだ』
カリム『ううっ..NRCトライブ?その名前、どこかで..っ!』
ジャミル?『しっかりするんだ。彼の言葉に耳を貸すな、カリム!』