第95章 *灼熱シーク(カリムの夢)*
カリム『う、うう..オレはジャミルを、信じる』
ヴィル『あの魔法は、ジャミルのユニーク魔法!?』
ユウ『まさか、あの時みたいに先輩を操ろうとしてる!?』
『っ、だめ!その人を信じちゃだめ!!』
カリム『操る..オレを?ジャミルが..あ、ああ!』
ぐらりとまた空間が歪む。ユウたちの言葉がトリガーとなり、カリムの頭の奥底から記憶が浮上していく
ジャミル?『俺がそんなことするわけないだろ。見ろ、この誠実な瞳を。嘘をついているように見えるか?』
ヴィル『カリム!ジャミルの目を見ては駄目!』
ジャミル?『カリム。俺とお前は赤ん坊の頃から兄弟のように育ったよな』
カリム『ああ、そうだ..ずっと一緒だった..』
ジャミル?『俺の両親の雇い主は、お前の父。だが俺たちは、お互いの立場に遠慮することなく何でも本音で語り合ってきた。俺とお前は唯一無二の親友..そうだろう?』
カリム『お前の言う通りだ..オレたちは本音で語り合える親友..』
『嘘。そんなの嘘だよ』
カリム『う、そ..?』
『..ジャミさんは、カリムさんの従、者..てことにずっと悩んでた。ほんとのことだって、今なら言えるけど、ちっちゃいときからあのホリデーの時まで、全然言えなかったんだよ..凄く、苦しんでた』
それはVDCの合宿中のある日の夜、オンボロ寮の一室ーージャミルの部屋を訪れていた時
ジャミル『ーーー俺はずっとあいつに我慢してた。ぶつけたい本音も、実力も、何もかも..このまま一生こうしていくんだと思ったら、もうどうにでもなれって自棄になってホリデーの計画を立てたんだ』
ベッドの上、胡座をかいた自身の上に横抱きにしたレイラを乗せ、ポツリポツリと言葉を零す
そんな彼の胸に頬を寄せながら、珍しく弱々しい声色で過去を語るジャミルを心配そうに見上げながら、レイラはスリっとまた1つ頬ずりした
『..ありがと、話してくれて。でもなんで..』