第95章 *灼熱シーク(カリムの夢)*
ヴィル『ええ.."も"ってことは、カスルサルタナートアカデミーも魔法士養成学校なのね。熱砂の国にも魔法士養成学校があるなんて、知らなかったわ』
カリム『おう。2年前にオレのとーちゃんが作ってくれたんだ!まだピカピカだぜ』
グリム『へー..えっ?作ってくれた!?』
カリム『オレが14歳になったくらいかな?魔法が発現したんだけど、近所に魔法士養成学校がなくってさ。ないなら作っちまえってことで、建設を急がせたらしいぜ』
イデア『ないなら作ろう精神は理解できるけど..スケールがでかすぎますな』
カリム『なあなあ!ここで会ったのも何かの縁だ。お前たちの学校の話をもっと詳しく聞かせてくれよ!』
すっかりこちらの話に興味を持った様子に、これは好機と捉えその誘いに乗ることにした
とりあえず日差しを避けたいというヴィルの願いに応え、カリムは手を叩き従者たちを呼び寄せ宴の支度を始めさせる
何人もの従者たちによってあれよあれよと敷物やパラソルが立てられ、豪華な食事が次々と並べられていく
カリム『よーし、それじゃ始めようぜ。みんな座ってくれ!飲み物も食べ物も、おかわりはいくらでもある。遠慮なく食っていってくれよな!
今日の出会いに、乾杯!』
『『『乾杯!』』』
カチンとジュースの入ったグラスがぶつかり、腹ペコのグリムを筆頭にご馳走に手を付け始める
『むぐ..』
ユウ『美味しい?』
『ん』
ヴィル『体調は悪くなったりしてない?あんた、さっきまでフラフラしてたでしょ』
『ご飯食べて冷たいの飲んだら楽になった。風も気持ちいいのきてるから。二人は大丈夫?』
ユウ『僕も水分とって腰降ろせたら大丈夫になったよ』
ヴィル『あたしも同じく。というより、あたし達のことじゃなくて自分の心配してなさい。あんたが一番この中で環境の変化とかストレスに弱いんだから』
なにかあったらすぐ言いなさい、と優しい手付きで撫でられ、大きな手の感覚に目を細め気持ちよさそうに甘受するレイラに、ヴィルは今すぐ抱きしめてキスしてやりたい気持ちを甘いジュースで流し込んだ