第95章 *灼熱シーク(カリムの夢)*
セベク『グリム、貴様公共の場で何をっ!?』
グリム『ぷぁ〜〜っ、アツアツだった肉球がじゅわ〜っと冷えていくんだゾ〜』
『ぁぅ、きもちよさそ』
セベク『お前は絶対に飛び込むなよ!』
『..ダメ?』
セベク『うぐっ!....だめだ!』
ヴィル『ああ、もう。噴水はプールじゃないのよ。さっさと上がっていらっしゃい!』
シルバー『ん?グリムが飛び込んだ噴水の中央に建っている金色の像..』
蓮のようなモニュメントの上に立つ、長い羊皮紙を片手に広げるふくよかな男性。その姿に見覚えがあるのか、シルバーは考えるような仕草で首を傾げる
シルバー『このご老人はどこかで見たことがある気がする』
?『そのじーさんは、伝説のオアシスの名君。すげー正直者で、心配事があれば包み隠さず何でも臣下に相談し..一緒に解決策を探した。しかも、時代の変化に合わせて積極的に法律の改正もしたらしいぜ。
かっけーよな!このカスルサルタナートアカデミーは、オアシスの名君の寛大な精神を大事にしてる学校なんだ』
足音と共に、こちらへ近づいてくる影が1つ。振り返ると、その姿を見た全員が目を見開いた
グリム『オ、オメーは..』
『『『カリム!』』』
ピーコックグリーンとホワイトと爽やかな配色の服に身を包むその姿は、背後で佇む"オアシスの名君"を彷彿とさせる
頭上に光る小鳥が羽ばたき、カリムは現実と変わらないはつらつとした笑みでこちらを見つめていた
熱砂の国・カスルサルタナートアカデミー
カリム『ん?オレ、お前らとどっかであったっけ?わりー、オレ人の顔覚えるの苦手でさ〜』
『カリムさん...鳥さんがいる』
シルバー『ああ。この夢の主はカリムのようだ』
ヴィル『今、カスルサルタナートアカデミーと言ってたわよね。あんたはそこの生徒なの?』
カリム『おう!改めて..オレはカリム・アルアジーム。カスルサルタナートアカデミーの2年生だ』
セベク『どういうことだ?貴様はナイトレイブンカレッジでスカラビア寮の寮長を務めていたはずだろう』
カリム『ナイト..?う〜ん。なんかどっかで聞いたことあるような..お前たちはそこから来たのか?』