第95章 *灼熱シーク(カリムの夢)*
夢の回廊
ヴィル『へ?は?
い、
いやーーーーーーーー!!!!!!!』
シルバー『ぐっ!?』
オルト『霊素シグナル・トラッキング成功。指定された座標へ到着しました』
ヴィル『イヤーーーーーーっ!!!こんなの聞いてない!早く終わって〜〜!』
夢の回廊での荒運転・飛行にヴィルの叫びが響き渡る。もう次の夢の地に降り立っているというのに、今だに叫び続けるとんでもない声量に一同は顔をしかめる
シルバー『ヴ、ヴィル先輩..っ!も、もう移動は終わっているっ..!』
振り落とされないようにシルバーの首に回した腕がギチギチと音を立てて締め上げる。苦しさと耳元での大音量に端正な顔を歪ませ、必死に彼の腕を叩く
ヴィル『誰かーっ!キャーー!!
..え?もう終わっている?』
恐る恐る辺りを見渡すと、色鮮やかな宮殿のような建物が目に入り、ようやく地に降り立ったことに気づき、ヴィルはそっと体を離した
シルバー『..途中からヴィル先輩の腕に締め上げられて、全く身動きが取れなかった。親父殿との組み手中にかけられた関節技を思い出す..俺1人だけなら着地体勢が取れなかっただろう。オルトの誘導に感謝する』
セベク『移動中ずっと叫び続けるとは、なんという肺活量と声量だ。耳がどうにかなるかと思ったぞ!』
オルト『声量に関してはセベクさんも人のこと言えないと思うけど』
ユウ『どっこいだよ。てか大声出してる頻度からしたら君と過ごしてるときのほうが耳がどうにかなると思ったわ』
『ヴィルさん、大丈夫?』
ヴィル『ぅぅ、大丈夫よ..ミキサーにかけられる冷凍ブルーベリーって、きっとこんな気持ちね..』
シルバー『その..スマートにエスコートできず、すまない』
ヴィル『ごほん!勘違いしないで。シルバーを責めてるわけじゃないわ。少し驚いて、取り乱してしまっただけよ。
..何よ、グリム!ニヤニヤしないで』
ユウ『少し驚いて、ねぇ..』
ヴィル『ちょっと、ユウ!あんた、夢から夢への移動がこんな荒っぽいって知ってたの?』
ユウ『知ってましたけど、オモロそうだったんで黙ってました』
ヴィル『知ってたなら先に言いなさい!』