第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
嫌われ、怒られるのを承知でいる心づもりでいたシルバーだったが、実際その目に睨まれると体が萎縮し、どうしていいか内心オロオロするしかなかった
だが、そんなシルバーの姿に、レイラは目尻を下げて小さく笑うと、そっと彼の胸に身を寄せ抱きついた
シルバー『レイラ..』
『ありがと、守ってくれて。それと、言うこと聞かなくて、ごめんなさい...』
シルバー『..俺はお前が心配だ。大切な人を助けたいその想いは尊いが、その身を危険に晒してしまうのは見たくない。お前のその気持ちが、いつか自身を壊してしまうかもしれないと思うと、俺は..』
抱きしめ返す手が震え、苦しげな声が耳を掠める。ゆっくりと震える手が首の後ろを優しく労るように撫でていく
シルバー『俺は一度、自分のせいでお前を失いかけた。もうあんな思いは二度としたくない。愛しい人を..失いたくない』
ふと、恐ろしく美しい竜の魔女と、そんな魔女を愛した不器用な男が頭をよぎり、二人はぶり返してきた悲しみを打ち消すように、強く抱きしめ合った
『ユウ』
ユウ『ん?』
『言う事聞かなくて、ごめん』
ユウ『..お詫びにギューってしてくれる?』
『ん...えと、シルバーさん、離して?』
シルバー『まだ、こうさせてほしい』
ユウ『いや、次は僕とハグするんですから....おい、ちょっと聞いてます?』
シルバー『もう少しこのままでいさせてくれ』
ユウ『いや、もう離してくれません?おーい、聞いてます?ちょ、もう離してって...おいこら!!離せって言ってんでしょ!?離せやこらぁぁぁぁぁ!!!僕にも抱きしめさせろや!!!!』