第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
VTRを見たヴィルから、今自分たちを眠らせているマレウスのことではなくVTRの作り方に文句が出つつも、現状把握できたその美しい顔は、好き勝手されていたことに対する怒りに歪む
ヴィル『それにしても、腹立たしいわね。マレウスには何度か助けてもらった恩はあれど..あたしの幸せを勝手に定義して、あんな夢を見せていたなんて。これは一発お見舞してやらなきゃ気が済まない』
オルト『そうこなくっちゃ!それじゃあ、これを渡しておくよ』
そう言って手からホログラムのパーティー招待状を生み出し、ヴィルの手へしっかりと握らせた
オルト『それは、マレウスさんとの最終決戦..パーティー会場への招待状。必ず出席してね!』
ヴィル『ふっ..ポムフィオーレ寮長、ヴィル・シェーンハイト。慎んでイグニハイドの招待をお受けしましょう。迎えの馬車が来るのを心待ちにしているわ』
恭しく一礼すると、そっと招待状にキスを落とし寮服へとしまい込んだ
シルバー『では..イデア先輩、オルト。次の夢への移動を開始するか?』
イデア『あ、そ、その前に..次の夢に渡る人数を少し絞りたい。あまり霊素データが大きくなりすぎると、遅延やバグが発生しかねないから』
オルト『そうだね。霊素シグナルトラッキングによる座標指定はまだ安定性が低いβ版。次の夢に移動してみたら、1人足りない..なんてことになっても困るし』
ヴィル『そう..なら、
ルーク、エペル。あんたたちは自分の夢に戻りなさい』
ヴィルの視線が二人へと注がれる。突然離脱を進言されるが、当の本人たちはまるで分かっていたように頷いた
ルーク『気が合うね、ヴィル。私もちょうどそれを提案しようとしていたところだよ。イデア君に加え、ヴィルが仲間に加わった。2人がいれば、ピンチも裸足で逃げ出すはずさ。そして、夢での移動にはシルバー君のユニーク魔法が必要だ。であれば、彼が背中を預けられる同寮のセベク君も同行するのがいい』
ユウ『....あの、いいですか?』
暫し考える素振りを見せていたユウがおずおずと手を上げると、一斉に全員の視線が集まる
ユウ『ええっと..魔法の使えない自分が1番お荷物なのではと思いまして..だったら、自分が残るべきでは、と』