第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
『ぁ、ぅ...っ』
ヴィル『レイラ、顔を見せてちょうだい』
『..やぁ..っ』
ヴィル『あら、ようやく会えたんだから、あんたの可愛い顔の一つ見せてくれたっていいでしょう?』
優しく促す声にも頑なに首を横に振り、その胸に顔を埋めたまま上げようとはしない
その理由が何なのかはすぐに察しがついているが、意味はないが念のため聞いてみることにした
ヴィル『どうして?』
『..だって、だっていま、すごく、かわいく、ない、から..ぁ..ぐすっ、ぅぅぅ..』
ヴィル『あら、それは見てみないと分からないじゃない。それに、今どんな顔してるかなんていい。あたしは、1秒でも早くあんたの顔が見たい。あたしを安心させてほしいの。
ねぇ、顔を上げて見せて』
びっくりするほどに穏やかな声色に暫く無言でいたレイラだったが、やがて恐る恐るその顔を上げてヴィルを見上げていく
ヴィル『ふふっ、ほんと涙でぐちゃぐちゃね。目元も赤く腫れて涙の線をこんなに残して..』
涙でくしゃくしゃになった顔に苦笑いを浮かべると、その言葉にまた今にも泣きそうなレイラにそっと顔を近づける
ヴィル『でも、やっぱりあんたは可愛いわ。いくらぐちゃぐちゃな顔でも、あんたはあたしが恋した、大切で、大好きで、可愛い、あたしの小兎よ。
迎えに来てくれて、ありがとう』
目尻に柔らかい唇が触れ、溢れようとした雫が拭われていく。その温もりと言葉に目を閉じて甘い感覚に浸っていると、去り際に唇にも軽いキスを落とされ、目を開けたその表情は甘く蕩けそうなものだった
『ぁぅ..//ヴィルさん..』
ヴィル『会いたかったわ』
『ん、私も..私も会いたかった』
ようやく見られた愛らしい笑みに、ヴィルは体に刻みつけるように、強くその身を抱きしめた
セベク『今..キス、した、のか?』
シルバー『ああ、そうだな』
セベク『そうだな、ではない!な、なにをこんな時に..ま、まさかあの二人はそういう関係なの、か?』
シルバー『分からない。だが、もしそうなら...』
ユウ『地味〜に落ち込んでる二人に朗報。先輩とレイラは付き合ってないですよー』
『『そ、そうか..』』
ユウ『(目に見えて嬉しそうな顔しおって)』