第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
ルーク?『エペルくん!ぐっ...!!』
ヴィル『ルーク!?』
同様に吹き飛ばされたルークもその場で動かなくなり、二人はその周りから這い出てきた黒い手のようなものに掴まれる
ヴィル『な、なによ、これ..』
ルーク『レイラくん!?まさか、君が..』
エペル『お、俺たちの姿をした闇を、ふっ飛ばしちまった..』
『....せっかく戻ろうとしたのに邪魔するから。ね、今なら邪魔がないから、ヴィルさんとお話して』
ルーク『兎の君..感謝するよ』
レイラの足止めを好機とし、ルークは更にその距離を縮めて声をかけ続ける
ルーク『ヴィル!真実から目を背けてはいけない!君の呪いが白雪の君を冷たい眠りにつかせることはなかった。しかし、一度は罪の果実を手に取ってしまった事実は変わらない。今も耳にこびりついているよ。自分のことが許せないと叫んだ君の声が』
ヴィル『あたしが許せない..ぐぅっ!?痛っ..頭がっ!』
"おだまり!あんたたちに何がわかるっていうの!?世界中の誰が許してもあたしはあたしが許せない!"
フラッシュバックするあの日の叫びが、更に覚醒へと近づけていく。うろ覚えで、それでもどこかで自ら叫んだあの声が、記憶の奥底から浮上しようとする
ヴィル『い、今のは、一体..ううっ!』
ルーク『あの日..深い悔恨の杭が、耐えがたい痛みを伴って君の胸を穿っただろう。だがその痛みを知ったからこそ、君は本当の美しさとは何かを知ったはずだ。そして、君は嘆きの島で誰にも負けない最高の美しさを、遺憾なく見せつけた!
どうか思い出しておくれ。光も差さない地の底で..今この時、あたしは世界一美しいと胸を張った、あの日のことを!』
ヴィル『そうよ、そうだわ..あたし..あたしは..あの日!この場所で、あ、ああ..
ああああああああああっ!!!』
箍が外れたように次々と流れ込んでくる記憶。VDCでの後悔と涙、嘆きの島での奮闘、そして喜びが彼の覚醒を一気に押し上げた
夢の殻にひび割れ始め、それは大きな音を立ててバラバラになって砕け散った