第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
ヴィル『あたし..どうして忘れていたのかしら。あたしが最後に息を止めるその瞬間まで、決して忘れることはないって誓ったのに..』
ユウ『あーーー..やっと目が醒めた』
『思い出してくれた..』
ヴィル『あんたたち..またあたしを迎えに来てくれたのね』
ルーク『君が求めるなら、何度でも馳せ参じるとも』
エペル『へへっ。だって美しき女王様には、狩人と毒林檎が必要でしょ?』
歩み寄る二人を、愛おしい目で見つめるヴィルは、歓喜と感謝を込めてその手で二人を優しく抱きしめた
『ヴィルさ..』
ゴゴゴゴゴゴ...!!!
踏み出そうとした足は突然の地鳴りで止まる。明らかに自然の地震ではない揺れに、一気に緊張状態が高まる
ヴィル『!?この揺れは何?』
セベク『見ろ!空に大きなヒビが!』
シルバー『これは..夢の崩壊が始まったのか!?どうして今!?』
オルト『エペルさんが深紅の果実でネージュさんを助けたことで、この夢でヴィルさんは幸せな結末を迎えられなくなった。ライバルは復活し、再びヴィルさんは世界一の座から転落することになる。兄さんの夢と同じだ。このままじゃ、ここはすぐに深淵に飲み込まれる!』
イデア『オルト!シルバー氏!今すぐそこから離脱して!魔法構築式が急速に書き換わり続けてて、こっちからの誘導が間に合わない。とにかく、はぐれないように全員で固まって夢の回廊に退避するんだ』
シルバー『了解した!みんな、今すぐ俺のそばに!ここから脱出する!』
ルーク『分かった、行こう、エペル君、ヴィル』
ヴィル『ええ..きゃっ!!』
シルバーたちの元へと駆け出そうとした足がグッと引っ張られ、ヴィルは悲鳴を上げた。3人が振り返ると、湧き出した闇がまるで逃さないと言わんばかりにヴィルの足を絡め取っていた
エペル『ヴィルサンが闇に捕まった!引っ張り上げないと!』
ルーク『ヴィル!私の手を!』
近寄り手を取って引いていくが、闇は更に強く絡みつき、足を振ってもビクともしない