第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
何度呼びかけてもピクリとも動かないネージュの唇は、血の気の引いた青みがかかっていた
ドミニク『ううっ、どうして..なんでネージュが..』
グラン『な、泣いてんじゃねぇや、バカヤロウ!うっ、ぐすっ..』
ホップ『うわぁあん!ネージュが、ネージュがぁ〜!』
ルーク『失礼!これは一体何事だい?』
ドミニク『わからないんです。私たちが文化祭の出店を見て、楽屋に戻ってきたらネージュが倒れていて..!』
『『『!!!』』』
オルト『みんな離れて。僕がネージュ・リュバンシェさんのバイタルをチェックするよ』
ドワーフたちを下がらせると、オルトは手をかざしホログラムの画面を開いてネージュを調べていく
オルト『これは..!』
グラン『何をしても起きやがらねえ。寝ぼすけなシェルピィでもあるまいし..てやんでぇ!』
ホップ『どうしよう、どんどん体が冷たくなって..このままじゃ、ネージュが!』
グリム『お、おいユウ!レイラ!この廊下に落ちてる林檎ジュースの瓶って、もしかして..』
ドワーフたちに聞こえないような声で指をさすと、そこにはVDCのあの日、ヴィルがネージュを蹴落とすために飲ませようとした林檎ジュースの空瓶だった
ルーク『そんな、中身がない..なんてことだ!白雪の君!』
ユウ『つまりこの人は、あの呪いを受けて..』
『これって、あの時私達が止めてなかったら、こういう事になってたってこと?』
ユウ『恐らくそうだね。てことは、このままだとあの人は..』
『(別にこの人を助けたいわけじゃない。でも..)』
彼を良く思っていないため自分には救う理由はないと思う一方、もうすぐ死を迎えるであろうネージュを悲しみに満ちた表情で嘆くルークの横顔に胸が痛んでいるのも事実だった
『(ルクさんのあんな顔は、見たくない)
エペル。ユニーク魔法をこの人にかけて』
エペル『えっ!?な、なんで...あ、そうか。よし、分かった!みんな、少し彼から離れて!"目を閉じて、息を止めて..
深紅の果実(スリープ・キス)!"』