第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
闇の中はその名の通り一面暗闇に覆われ、側にいる互いの姿に以外何も見えない。重力に従い降りていく最中、ふとレイラに異変が起きる
『っ..(重い..これって、あの時と同じ)』
深く闇に沈んだシルバーの身代わりとなって、闇にその身が侵されていく感覚が再び襲い表情が歪む
『(みんなは..大丈夫?)』
自分と同じようになっていないかと周りを見るが、さして異常を訴える者は見られない。その事に安堵するも、自分への侵食が止まらないことに冷や汗が伝い落ちる
『(..もしかして、私だけに集まってる?
でもいい..みんなが、大丈夫なら)』
手を繋ぐエペルに勘付かれないように出来るだけ平静を装いつつ、闇の奥底へと沈んでいった
暫くして底の方からボンヤリとしか明かりと景色のようなものが見え始め、その地に足が降り立つと、そこは何処か見覚えのある石造りの場所だった
シルバー『..ここは?』
セベク『ナイトレイブンカレッジのコロシアムの内部に見えるが..』
ルーク『この廊下は、まさか..』
『....誰か泣いてる?』
グリム『確かに、聞こえてくるんだゾ!』
聴力のいい二人の耳に、奥の通路から何人もの啜り泣くような声が聞こえてくる。耳をよく澄ませたシルバーたちにもその声は聞こえ、ルークがヴィルにつけたユニーク魔法の反応も同じ方向にあるため、全員急いでその泣き声のする方へと駆けていく
グリム『あっ!見ろ、廊下で誰かが倒れてるんだゾ』
エペル『あれは..ネージュ!?』
ルーク『!!』
啜り泣く声の正体、それは仰向けに倒れるネージュの周りで、悲しみに暮れる7人のドワーフたちの声だった