第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
レイラの腰に手を回し体を寄せると、少し驚いた後、その口元を小さく上げて微笑む
『ありがと』
セベク『..次の夢へ渡るまで、絶対にシルバーと僕から手を離すな』
『ん』
シルバーを掴む手とは逆の手でセベクの腰に手を当て強く服を握った
『(セベク、ちょっと怖い顔してる。泣き虫だって、ワガママだって..迷惑だって怒ってるのかな..?)』
セベク『(..なんと声をかけてやるべきだったんだ..くそっ、分からない!)』
真逆の考えで互いに悩んでいるとは、この時の二人は知る由もない
シルバー『では、行くぞ!
"いつか会った人に、いずれ会う人に..
同じ夢を見よう(ミート・イン・ア・ドリーム)"!』
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美粧の国・クインズ・フィルム・スタジオ
オルトのサポートもあり、全員安定して地に降り立つ事が出来た。初めての夢の渡りで見慣れない景色と感覚に興奮気味のルークをよそに、辺りを見回してここがどこかを確認する
『どこ..?あれってお家..違うよね』
ユウ『うん。家っていうよりなんかの施設って感じだね。しかも奥にも同じのが何個かある。工場かなんか?』
目の前の敷地の奥に巨大な倉庫、あるいは体育館のような形の建物が等間隔で並び立ち、一面のコンクリートは道路となっており、所々にトラックなどの大型車が停車していた
エペル『う〜ん。学園でも麓の街でもないみたい』
ルーク『はっ!!ま、待っておくれ。この美しい門構えは、まさか..!』
心当たりがあるように周りの景色を見渡し、目の前にそびえ建つ大きな門構えを見上げ感嘆の声を漏らした
金色に光る王冠を真ん中に輝かせ、同じく金色で彩られた"Queen's Film Studio"という文字がでかでかと門構えの上を飾る
セベク『クインズ・フィルム・スタジオ..む?確か..有名な映画制作会社の名前だったような..』
ルーク『有名どころか!クインズ・フィルム・スタジオなしに映画の歴史は語れないとすら言われてるほどだよ!美しき女王の伝説を描いた、世界初のカラー長編アニメーション映画、ビューティフルクイーンを見たことは?あれはまさに芸術作品さ!』