第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
ルーク『..私は君を泣かせてばかりだね。兎の君、愛しい人..本当に、すまない』
『ぐすっ..もう..もう、ルクさんなんて..ルクさんなんて..き、ら..
ーーーっ..!もう、知らない』
ルーク『!』
完全にそっぽを向きユウの胸に顔を埋めると、察したユウは背に手を添えると、ルークから少し離れたところへと連れ出していった
残されたルークの元にそっと歩み寄るエペルが、心配そうに彼を見上げる
エペル『..大丈夫、ですか?』
ルーク『ああ。嫌われてもおかしくないのに、彼女は"嫌い"ではなく"知らない"と言った。嫌われていなくて正直ホッとしているよ。彼女の優しさに感謝しなくてはいけないね』
エペル『ルークサン..』
ルーク『ようやく得られた信頼をゼロにしてしまった。だが心配しないでくれ。これで絶望するつもりも、諦めるつもりはないさ。ここから改めて関係を築き上げていくよ』
エペル『そう、ですね。やっぱルークサンは強いな』
ルーク『一瞬、心折れかけたけれどね』
『くすん..』
ユウ『落ち着いた?』
『ん』
腕の中の泣きじゃくる声が治まってきたのを確認すると、安堵のため息をついて少しだけ力を弱める
『ユウ』
ユウ『ん?』
『ごめん』
ユウ『なんで謝るの?凄く大切なことを忘れられたら悲しい、なんて当たり前でしょ。内容がなんであれ、レイラにとって本当に大事なことなら、取り乱しても全然不思議じゃないよ』
『..ルクさんに、ひどいこと言った。あの時もそうだったの。ルクさんは悪くなくて、自分がいいと思った方にいっただけ。なのに、私..すごく怒って、ひどいこと言ったの
さっきのことだって、忘れたくて忘れてたわけじゃないの知ってるのに、ほんとは分かってたのに..』
ユウ『..レイラは、それでどうしたいの?』
『今はできない、けど..落ち着いたら、ごめんなさいしたい』
ユウ『そっか。うん、そうだね。焦らずゆっくりでいいんだよ。レイラの心が落ち着いたときで』
『ありがと、ユウ』
一層深く抱きしめ合う二人をシルバーたちはホッとした様子で静かに見守っていた