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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*






強がるも隠せない体の震えに、オルトは急いで手を翳すと緩やかな熱風をセベクを中心に全員に行き渡るように放つ


『..ごめん』


ユウ『大丈夫、ちょっと寒かっただけだから。それより、レイラは寒くなってない?』


『ん』


ルーク『兎の君..』


その声に再び深紅の瞳に暗い色が渦巻く。そんな瞳に一瞬戸惑いを見せるが、歩を止めることなく近づき、その場で片膝をつき深々と頭を下げた


ルーク『君の純粋な心を1度ならず2度も傷つけてしまうなんて..その上、自ら立てた誓いも忘れて甘い夢に浸ってしまった。君が怒りに狂うのも無理はない。私のしたことは自分の罪を背負い続けることを放棄して、勝手に楽になろうとした。我ながら情けない』


頭はあげないまま懺悔をこぼしていく。その横顔は本気で今までのことを悔み、普段の彼からは見られないほど弱々しいものだった


ルーク『..君が許さないと言うならば、それで構わないよ。それでも、どうか..どうか、君を想うことだけは許してほしい』


エペル『ルークサン..』


お願いだ、と一度上げた顔を一層深く下げる。二人を見守っていたシルバーたちは、またなにか起きないかと内心ハラハラしながら、レイラの言葉を待った



『...つき..



…嘘つき。ぜったい、ぜったい忘れないって、言ってたのに..約束って、言って..たのに』


ルーク『!!』


ポタっと足元に雫が落ち、黒いシミが広がっていく。顔を上げたルークの目に、大粒の涙を流しながら肩を震わせるレイラが映る


急いで立ち上がりその涙を拭おうと手を伸ばすが、拒否するように半歩下がられてしまい、その手は空を切った


『..思い出して、ほしかったのに..っ..聞いても、ぜんぜん違う、こと言って..でも、エペルが全部言ってくれて、それで思い出してくれて、嬉しかった』


エペル『...』


『でも..っ..私の、ときに、思い出して、ほしかった..っ!ぅ、ぅぅ..ぅぇぇっ..!』


とめどなく溢れる涙を乱暴に袖で擦り涙声が泣き声へと変わる。すぐさまユウが駆けつけ、その身を抱き寄せ指の背で拭った


泣き崩れるレイラの姿に、その場の全員が、胸を締め付けられるような痛みに襲われる。目の前で見ていたルークは特に強く痛みを感じ、罪悪感で顔を歪めた

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