第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
『『『!!!』』』
レイラの瞳に鈍い光が灯る。激しく渦巻く怒りが周囲の魔力を膨れ上がらせ、同時にその足元から冷え切った風が一気に広がる
グリム『にゃ、にゃんだ!?あいつの足元からスゲー冷たい風が吹いてくるんだゾ!』
ルーク『ぐ、ぅ..なんて冷気だ。冬の雪山、いやそれ以上..』
エペル『うっ!さ、さっびぃ!!』
シルバー『なんだあれは?レイラの魔法なのか?』
セベク『し、知らん!それよりも..は、はっくしゅん!!この寒さをなんとかしろ!』
イデア『この感じ..まさか..!オルト、すぐにヒロイン氏のバイタルとブロット濃度を計測して』
オルト『もうやってるよ...はっ!まずいよ、兄さん。バイタルに異常な乱れと、急速に彼女のブロット濃度と蓄積量が高まってる!このままだと..』
オーバーブロットする
この場にいる誰もが脳裏にその言葉を浮かばせる。早く対処しなければ、と焦る中で誰よりも先に動き出す影が2つ
エペル『レイラっ!これ以上ブロット溜めるんじゃねぇ!』
ユウ『うっわ冷たっ!こんなに冷えきっちゃって..一回落ち着こうね。ほら、深呼吸して』
エペルは手を、ユウはその肩を抱き寄せ、伝わるあまりの肌の冷たさに顔をしかめながら、それでも決して離すことなく制止の言葉をかける
エペル『とにかく落ち着け、な?』
ユウ『大丈夫だからね。いい子、いい子..』
『...』
寒さに震える体を強張らせ、それでも我慢しながら落ち着かせようと温め続ける二人に、次第に足元の冷気が勢いを弱め、その瞳に渦巻くおぞましい色がゆっくりと消えていった
グリム『た、助かったんだゾ..オレ様、全身の毛という毛が芯まで凍りついちまった』
シルバー『凄まじい威力だったな。セベク、大丈夫か?お前、確か寒さには弱かっただろう?』
セベク『も、問題ない!うぅ..』
オルト『今、温度を抑えた熱風を送るからこれで温まってね』