第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
怒っている。そう表すのは簡単だが、その一言で片付けられないほどの怒りが渦巻いていると、誰よりも付き合いの長いユウには分かる
このタイプの怒りを募らせたレイラは、とても厄介で危険だともはや本能のように、頭の中に危険信号を発令させる
ユウ『と、とりあえず、中に入りましょう。さあ、レイラも行こう』
『ん..』
顔を隠すように先頭をきって歩き出したその後を、二人は静かに追いかけていった
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コロシアム・特設ステージ
中に入ると、そこにはあの日のVDCのステージがそのまま再現されており、舞台上には既にスタンバイしていたエペルたちが3人を迎えた
ルーク『!?あ、あのステージは?あれは..エペルくん?』
エペル『ルークサン!消してやるぜ。あんたの中の偽物の輝きを!そして思い出させてやる。
ーーーあの日の全てを!』
ルーク『あの日..!?』
エペル『ユウ、レイラ、来い!』
ユウ『オッケー』
『..ん』
立ち尽くすルークを置いて駆け出し、二人がそれぞれのポジションにつくと、エペルのアイコンタクトで会場のスピーカーから、あの日の曲が流れ出す
そのパフォーマンスは一夜漬けの付け焼き刃ゆえ、決して完璧でも最高と称賛されるものではなかったが、ルークの心を強く揺さぶるには充分だった
ルーク『こ、この曲..このダンスは..!うっ、なぜだ!?初めての曲とダンスのはずなのに..涙が溢れてくる。手足も上がりきっていないし、振りもバラバラ..なのに、ああ!なぜこんなにも、胸が締めつけられるのだろう!なんて美しく..そして、切ない!』
ぐらり、と空間が歪み始める。ルークの覚醒が始まると共に、ひどい頭痛が彼を襲い始める
ルーク『うっ!!??ぐぅっ..なんだこれは!?急に、あ、頭が..っ!』
ユウ『よし、夢から醒め始めてる!』
喜ぶのも束の間、周囲に感じたことのある魔力が辺りに広がり始める
イデア『みんな、気をつけて!周辺の魔法構築式が急速に書き換わってる..ゲームマスターのお出ましですぞ!』