第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
そして日が完全に登りきった朝、ユウとレイラはルークを呼び出し、ステージのあるコロシアムへと連れ出した
昨日の自分の推し活に付き合ってもらった事が相当嬉しかったのか、なんの疑いもなく上機嫌で後を着いてくる
ユウ『(なーんか罠にかけてるみたいであれだけど、元に戻すためだし罪悪感はないね)』
『.....ねぇ、ルクさん』
ルーク『ん?なにかな、兎の君?』
突然足を止め振り向くレイラの行動に、特に驚きもせずにこやかに問いかけると、少しの沈黙のあとゆっくりと口を開いた
『昨日エペルが言ってたVDCの話..その時にルクさんがしたこと。
私に..みんなにしたこと。
本当に覚えてないの?』
ユウ『...』
ルーク『VDCで、私が..したこと?う〜ん?』
キョトンと目を丸くしながら記憶をたどり考える。レイラは僅かな希望を持って、ただひたすらに応えを待った
試すようにその瞳を揺らして
ルーク『..ああ、覚えているとも!私が声をかけて、君たち..いいや、みんなにヴィルくんとネージュくんのパフォーマンスを全力で応援してもらったね!』
ユウ『!!...ちっ』
『...』
ルーク『突然のことにみんな最初は戸惑っていたようだけれど、最後には全員が1つになったように盛り上がった。あの瞬間は忘れられない、忘れることなんてできないよ』
思い出したのか興奮に頬を赤らめ、曇り一つない笑顔で語る。その周りは花が咲き乱れそうなほど明るかったが、二人からはそれを凍てつかせるほどの冷えきったオーラが溢れていた
『....そう。やっぱり、忘れちゃったんだね。絶対覚えてるって言ってたのに..
嘘つき』
ユウ『っ..!!』
呟かれた声はルークには届かなかった。だが、隣に立つユウだけにはその声がハッキリと耳に届き、それは同時に得体のしれない寒気を背筋を走らせた