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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*





そんなボールルームの扉が音もなく開け、レイラはコソコソと部屋へと戻ってきた。オルトが用意してくれた毛布を被り再び目を閉じようとしたが、こちらから離れたところでイデアのタブレットが淡く光り、フワフワ浮いてるのが見えた


まだ起きているらしいイデアに何を思ったのか、毛布を抱えながらそっとタブレットへと近づいていく


『お月さま..?』


イデア『!ヒ、ヒロイン氏。起きてたんだ』


『ん。ちょっとお手洗い行ってた』


イデア『そ、そう..』


『『...』』





会話終了





しかしそこで戻ることはなく、レイラは浮遊するタブレットの隣に腰を下ろして毛布を体に巻きつけ、画面の奥で微かに聞こえるキーボードのタイピング音に耳を澄ませた


『さっきからずっとそうしてたの?お月さま、寝ないの?』


イデア『せ、拙者にとって徹夜など日々のゲーム周回やらプログラミング作成、その他諸々で慣れてます故、このくらい余裕ですわ...ひっ!!』


タブレットに細い指がそっと縁をなぞり、悲鳴に近い声があがる。実際体に触られたわけではないのだが、なぞられたことによる画面の揺れと、思った以上に画面に映るレイラの大きさに驚いたのだ


イデア『い、いきなりなんなの!?』


『ごめん。ちょっと触りたくなっちゃった。


ーーーお月さまは凄いね』


イデア『へ?なにが?』


『だってみんな寝ちゃってるのに、1人ずっと起きて頑張ってる。みんなを助けるために、頑張ってる。プロ、グラム?だって、私達にできないことを代わりにやってくれたり手伝ってくれてるし、今もみんなのダンスを見ててくれる。

ほんとに凄い、お月さま』


画面越しに手放しで褒められ、イデアはジワジワと白い頬に熱が込み上げる。半分まで淡いピンク色に染まった髪をくしゃりと握り、意味もないのに自身の顔を覆い隠した


天才だなんだと言われたり、魔導工学の腕を褒められることは特別慣れていないわけでないが、何故かレイラの賞賛の言葉は、ストレートにイデアの心に染み渡り、優しく広がっていく


まるで柔らかく温かいものに包まれているような感覚に、一瞬身を委ねてしまいそうになるも、すぐに我に返りブンブンと振り払うように首を横に振った



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