第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
オルト『うん。それにここは夢の中..強固なイメージさえあれば、ステージの情報を構築することは可能だ』
セベク『待て!歌は音源でいいとしても、踊りはごまかせないだろう?僕とシルバーは、踊りの経験など全くないぞ。貴様らのステージは客席で見た。とても初心者に踊れるとは思えないが..』
エペル『..グリムクン、ユウクン。僕らの練習は毎日見てたよね。ダンスの振り、覚えてる?』
グリム『あったりめーだろ。オレ様たちがどんだけヴィルの"ストップ!曲止めて!"って声で震え上がって、どんだけ繰り返しオメーらのダンスを見たと思ってんだゾ』
ユウ『まあ、実際飽きるほど見てたからね。ちょっと時間が経って細かいところはあれだけど覚えてるよ』
エペル『じゃあ、ユウクンとグリムクンは、シルバーさんにバックコーラス隊の振りを教えて。僕はセベククンとオルトクンにメインボーカル隊の振りを教える。
それと..レイラチャン』
名を呼びかけながらその姿を見つめる。しかし、当の本人はどこか上の空状態で床をぼんやりと見つめるだけで何も返事をしない
不思議に思いもう一度名を呼ぶと、ようやく気づいたのか、少し肩を跳ねさせながらゆるゆると顔を上げる
『ごめん..なに?』
エペル『大丈夫?どこか具合でも悪い?』
『ううん、大丈夫。それで、どしたの?』
エペル『えっと、レイラチャンには僕ら全員のダンスを見てイデアサンと一緒に指導してほしいんだ。イデアサンは客観的に..レイラチャンはずっとダンスを見てた身内側からとして。あと、一度踊ったことのある僕自身も含めての個別指導もしてほしい』
セベク『ま、待て!レイラだけ負担が大きくないか?さすがに1人で僕ら全員の、更に個別指導など..』
『..やれる』
セベク『レイラ..』
『ありがと、心配してくれて。でも大丈夫。私だけ何も出来なくて足引っ張っちゃう方が凄くやだから』
少し不安げな顔に小さく笑うと、"お前がいいなら"とそれ以上抗議することはなかった
シルバー『しかし何故彼女だけに個別指導まで頼むんだ?』
エペル『それは..レイラチャンが全てのダンスパート..つまりソロパートも含め全員のダンスを覚えていて、なおかつ完璧に踊れるからです』