第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
『それって....私達のことも、なかったことにしたかったのかな』
シルバー『そんな。辛い経験の先に、大きな幸せが訪れることもあるのに..!』
イデア『分かりみが深い。エンタメも夢もご都合ラッキー展開ばっかりだと冷めるしね。とはいえ..さすがというかなんというか、ルーク氏はとんでもなくイマジネーション強度が高い』
オルト『うん。ルーク・ハントさんの夢は細部までかなり丁寧に作り込まれてる。雑誌の発売日とか、DVDの内容までかなりそれっぽいんだよね』
イデア『それな。マレウス氏の解像度の低さを、ルーク氏自身がつよつよに補強してる。エペル氏の言葉にも一切揺らがないし、闇が出てくる様子すらない。愉快なオタク生活を満喫してるだけじゃないなら、覚醒させるのは結構骨が折れそうっすな』
エペル『...』
この中で誰よりもルークと親交があるはずの自分の言葉が全く響かなかった。そんな事実に悲しさと悔しさ入り混じった感情がエペルを包み込む
そんなエペルを慰めるように、オルトは小さな手でその肩に触れた
オルト『..エペルさん。これは全部夢だ。悲しい出来事や思い通りにならなかった経験を、勝手に悲劇と決めつけられてマレウスさんに記憶を封じられている状態。ルークさん自身が、ヴィルさんや君たちとの日々をなかったことにしたいと思ってるわけじゃない』
幼さの残るイエローアンバーが、ユウとその腕に抱えられているレイラへと注がれる。オルトの言葉にユウは"分かってる"と苦笑いするが、レイラはチラリと目線を合わせるだけで、また顔を埋めてしまった
『『.... 』』
セベク『うむ。オルトの言う通りだ。それに闇は夢の主以外の負の感情に反応し、襲ってくることもある。だから深く悲しむのはよせ、エペル』
グリム『にゃははっ!大泣きして闇に引っ張りこまれたやつが、先輩ヅラでなんか言ってるんだゾ』
指摘されたことで思い出したのか、怒りと羞恥でセベクの顔が赤く染まる
セベク『なっ..こら!グリム!貴様、余計なことを言うんじゃない!』
グリム『んで、散々言い合いしてたレイラに怖い顔されてビビってタジタジだったし、仲直りしたと思ったらまた泣かせてユウに追っかけ回されてたくせによ』