第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
サバナクロー寮
訪れたときはまだ日が照っていたのに、ルークの部屋で過ごしているうちに寮の外はすっかり夜になっていた
寮から出ると、先程まで全くと言っていいほど喋る気配のなかったイデアのタブレットがようやく話し始めた
イデア『..共感性羞恥でずっとフリーズしてた。興奮したオタクって外野から見るとあんな感じなんだ..ううっ』
セベク『なんなのだ、あの男は?5時間中10秒も黙らなかったぞ』
グリム『現実のルークも、あそこまでハイテンションじゃねぇんだゾ』
シルバー『そもそも、なぜポムフィオーレの副寮長がサバクロー寮生になっている?もしや、ルーク先輩はサバナクローに転寮したいという願望を持っていたのだろうか?』
『..ちがう、と思う』
シルバー『レイラ、目が覚めたのか。それで、違う、というのはどういうことだ?』
『前にね、ルクさん言ってたの。最初はサバナクローだったんだって。でも途中からポムフィオーレにいったの』
セベク『なにっ?転寮したということか?』
エペル『うん。ヴィルサンと出会って、意気投合して、ポムフィオーレに転寮したらしいよ』
オルト『この夢の中のヴィル・シェーンハイトさんは学業に専念することなく。映画やドラマなどの長編作品にも出演し続けている。そして、ナイトレイブンカレッジには通っていない..
つまりこの夢でのルーク・ハントさんは"ヴィルさんと友人になった"という事実がない。だから転寮することなく、3年生になってもサバナクローに所属している』
『『『...』』』
グリム『じゃあルークのやつ、本当はヴィルと仲良くなんてなりたくなかったってことか?』
セベク『あるいは、ヴィル先輩と仲良くなるよりも、彼が芸能界で活躍し続ける姿を見たかったのかもしれん』
イデア『..それはどうかな。マレウス氏の作り出した夢の中で定義されてる幸せってかなり表面的っていうか..解釈が浅くて、解像度低めな感じがするんすわ。
例えばルーク氏が、ネージュとヴィル氏両者の幸せを心から願っていたとして..芸能界にありがちなギスギスした嫉妬やら蹴落とし合いがない、優しい世界で..推し2人がずっとニコニコしてたら幸せでしょ?みたいな』