第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
鑑賞が始まって一時間もしないうちに、こっそりユウに膝枕をねだりさっさと眠ってしまったのだ。永遠に続きそうな映画に飽きたのか、そもそも興味がないのか、疲れが出たのかは定かでないが、ユウにそれを止める理由などなかったため、今の今まで好きに寝かせていた
小さな体を丸くして眠る姿はまさに小動物そのもので、そんなレイラの寝姿に笑みを浮かべると、シルバーも手を伸ばし黒髪を優しく撫でつけた
オルト『ルーク・ハントさん。貴重な映像をたくさん見せてくれてありがとう!もう時間も遅いし、僕たちはそろそろお暇するよ』
ルーク『楽しい時間は矢のように一瞬で過ぎ去るとはこのことだね。今日は本当に有意義な時間を過ごせたよ!ありがとう。またいつでも遊びに来ておくれ!』
グリム『もう2度と来たくねぇんだゾ』
オルト『それじゃあ、おやすみなさい。ルーク・ハントさん』
ユウ『レイラ、起きて。帰るよ』
『..む、ぅぅぅ..ん?ぁ、おはよ..』
あくびをしながら眠そうに目を擦る手を掴んで"擦らないの"とやめさせ、先に立ち上がり背中と膝裏に手を回し、ひょいと抱き上げる
シルバーたちも立ち上がると、目に見えてげっそりしながらゾロゾロとルークの部屋を後にする
しかし、エペルは途中で足を止め振り返ると、どこか考えるような面持ちでその口を開いた
エペル『ルークサン..あの、最後に1ついいですか?』
ルーク『ん?どうかしたかい?』
エペル『..本当に忘れちゃったんですか?VDCのこと..』
ルーク『VDC..?ああ、とても素晴らしかったね!ネージュ君とヴィル君による"みんなでヤッホー"は!』
エペル『..!!』
『....』
ルーク『あのステージは何度見ても、その光景の美しさに涙が溢れてしまうよ。鑑賞会はいつでもできる。あのステージを見て一緒に盛り上がるのは、次の楽しみとしよう。
ボン・ニュイ、みんな!』