第93章 *愕然ワイルド(ルークの夢)*
ルーク『君たちはオンボロ寮のユウくんとレイラくんだね。さあさあ、君たちも向こうに座ってくれたまえ』
ユウ『ちょ、ちょちょ..!まじでビクともしないなこの人!(ゴリラかよ!)』
グイグイと肩を押しながらユウをシルバーたちの方へ追いやると、くるりと踵を返しレイラへと手をそっと差し出した
ルーク『君もおいで。麗しきマドモアゼル』
『...』
深紅の瞳がジッとその手を見つめる。無に等しい表情が暫し続くも、その手を取ることはなかった
『や』
『『『!!!』』』
ルーク『レイラくん?』
『今のルクさんに..触られたくない』
無の表情に僅かに怒りの色が乗る。差し出された手を無視すると、固まるルークの横を通り抜け、静かにユウの隣へ腰を下ろした
ユウ『レイラ..』
『...』
シルバー『まさか、レイラがあんな顔をするなんて..』
セベク『まるで絶対零度の極地のようだったな。まさかあの二人はそんなに仲が悪かったのか?』
エペル『そんなことないよ。寧ろ、最近は二人で中庭とかで仲良さそうに喋ってるのを見る、けど(それでヴィルサンがあからさまに機嫌悪くしてたけど)』
コソコソ喋るシルバーたちの後ろで、拒否されたルークは自身の手を見つめながら、頭の奥の奥に眠るどこか初めてではない感覚に戸惑いながら、笑みを戻してDVD鑑賞の準備を始めた
ーーーー5時間後
ヴィルとネージュの出演映画・演劇をひたすら見せられ、全員、目の疲れや体のだるさ、なにより近くで繰り広げられるハイテンションモードのルークによる解説や感想も相まって、体力は限界に等しかった
シルバー『ぐぅ..はっ!すまない。夢の中だというのに、なぜか抗えない眠気が..』
ユウ『大丈夫ですよ。こっちはもう完全に寝ちゃってるんで』
シルバー『こっち..?ああ、レイラも眠ってしまったのか』
シルバーの言葉にユウは苦笑しながら自身の膝に頭を乗せ、小さな寝息をたてるレイラの頭を撫でる