第92章 *出発プレパレーション(エペルの夢)*
セベク『つ、墜落こそしなかったが、貴様に抱えられながらの着地というのは墜落よりも無様に感じるぞ!?』
シルバー『オルトはすごいな。俺たち4人と1匹を抱えられるなんて..』
オルト『言ったでしょ?僕に任せてくれれば大丈夫だって』
『ぅぅぅ~..』
ユウ『大丈夫?気持ち悪くなってない?僕に寄りかかっていいからね』
『ん、ありがと』
ふらふらする視界に僅かに感じた吐き気に耐えるように身を寄せると、肩に手を回され優しく抱きしめられる。その温もりに少しずつ気持ちが落ち着くのを感じながらちらりと辺りを見ると、そこが見慣れた景色であることに気づく
囲むように建つグレート・セブン像、その周りに広がる豊かな自然、その奥から覗く校舎
ナイトレイブンカレッジのメインストリートだった
時間は朝1番なのか、奥から現れた生徒たちは談笑しながら1限の授業がどうの等と歩いていく。レイラたちはこの夢の主が誰なのかと、キョロキョロと探していくことにした
グリム『オルト、そろそろ教えてくれよ。これ、誰の夢なんだゾ?』
オルト『それは..』
ズシン...
突然、地響きのような音が聞こえ、地につけた足に振動が伝わる。地震かと思われたそれはだんだんこちらに近づいてくる
それは急いで走ってくる誰かの足音のような
『あれ..?』
ユウ『どうしたの?』
『この魔力の匂い...私、知ってる』
?『はった!朝練の日さ限って寝坊してまった!おぐれだらレオナ先輩さドヤされる!』
ドスンドスンと音と共に現れたシルエットは屈強な体躯を持ち、しかしその声に何処か聞き覚えのあるユウとレイラは頭に浮かんだ嫌な予感に互いに顔を見合わせた
ユウ『この声って..』
『まさか..』
エペル『急げ、急げ~っ!』
屈強なシルエットーーそれは、ムキムキになったエペルだった