第92章 *出発プレパレーション(エペルの夢)*
夢の回廊
『『ぬわーーーーーっ!!!』』
黄昏色の空の中、真っ直ぐに落下していく浮遊感と風圧にグリムとセベクの叫びが響き渡る
セベク『オルト!この移動方法はなんとかならんのかーーっ!?』
オルト『カモフラージュとして、シルバーさんのユニーク魔法の痕跡を残してもらう必要があるからね。今後も君たちの言う夢の回廊を出るまでは、この方法をとるのがベターだと思う』
二人とは真逆に平然とした様子で共に落ちるオルトの横では、何度も夢を渡ったことのあるシルバーでさえも、遥か上空から落下する肝の冷える感覚に端正な顔を歪めていた
シルバー『一体誰の夢へ向かっているんだ!?』
オルト『それは着いてからのお楽しみ!』
ユウ『次こそスーパーヒーロー着地決めたいから知りたいんだけどぉ!』
オルト『ここはイマジネーションの世界。雑念が入ると不足の事態が起きやすいんだ。何も知らなければ"どこに辿り着くんだろう?どうなるんだろう?"っていう気持ちで全員の心が1つになるでしょう?』
グリム『それ本当か!?ただ説明するのがめんどくせーだけじゃねぇのか!?』
『あぅぅ..落ちるの、こわい』
オルト『大丈夫、大丈夫。僕に任せてくれれば。ふふふっ。
ほら、目的の座標が見えてきた。みんな、僕に掴まって!』
落ちる先に浮かぶ光の粒を指差すと、一気に速度を上げてその中へと勢いよく突っ込んでいく
視界が白一色に染まるも束の間、目の前に硬いレンガ造りの地面が見えてきた
『『『わ~~~~~っ!!!!』』』
オルト『魔導スラスター噴射!』
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ナイトレイヴンカレッジ・メインストリート
ブシューーっ!!という排気音が聞こえ、落下していく体が徐々にその勢いを弱めていく。あわや頭からぶつかるところだった一同は逸る鼓動をそのままに灰色の地へと降り立った
オルト『霊素シグナル・トラッキング成功。指定された座標へ到着しました。はい、お疲れ様~♪みんなどこもぶつけてないかな?』
『あぅ、あぅぅ~~..』
グリム『オレ様もレイラも目が回ってるけど、大丈夫なんだゾ~』