第92章 *出発プレパレーション(エペルの夢)*
シルバー『!!それは頼もしいな。よろしく頼む、オルト』
オルト『とはいえ、僕らが対象を特定し、追跡するために使用してる霊素シグナル・トラッキングは..エンジニア曰くまだβ版。不足の事態が起きた場合は、夢を渡ることに慣れているシルバーさんに頼る場面も出てくると思う』
シルバー『もちろんだ。俺にできることがあれば、何でも言ってほしい』
イデア『拙者もバレない範囲でのサポートはするよ。まあ、拙者には拙者の開発業務があるんであんまりアテにされても困るけど』
セベク『..話は以上か?では、すぐに出発するぞ!!』
イデア『あ..、っすー。その、ちょい、セベク氏。そ、その鎧姿、今から移動するとこだと目立つだろうから、装備チェンジしてくれない?』
セベク『そう言われても、手持ちの服はこれしかないのだ。僕の寮服はボロボロになってしまい、リリア様の夢に置いてきたからな』
イデア『えっと、な、何度も言ってるけど、ここは夢の中で、仮想現実。全部がイマジネーションの世界なわけ。ボ、ボロボロになって置いてきたって認識があるから、手元にないだけ。"今、自分は新品の寮服を着ている"ってイメージできれば、自動的に着替えられるはずだよ』
セベク『き、急にそんなことを言われても..新品の寮服、新品の寮服、うううう~~~ん!』
目を閉じ、傷ひとつない寮服を想像するも、上手くいかずセベクはうんうんとひたすら唸る
見兼ねたオルトが着替えの実践魔法は習ったばかりだから、と助け船を出すとイデアは"しょうがないな"と全員の魔法石に装備を変える術式を付与すると言って、セベクとシルバーのマジカルペンを預かった
イデア『じゃ、じゃあそこのヒロイン氏のも貸してくれる?』
『ヒロイン、氏?』
ユウ『レイラのことだと思うよ』
『ん、そっか』
ちょこちょこと小走りで駆け寄ると、胸に差したマジカルペンを差し出された手に渡す
そのマジカルペンを見たイデアの顔が一瞬にして驚いたような表情へと変わった
イデア『..え』
オルト『兄さん、どうかしたの?』
画面上のため覗き込めないオルトが不思議そうに問いかけるも、イデアの視線は自身の手の中に釘付けになっていた
手の中の宝石が半分以上黒く染まっていたからだ