第91章 *内密コール*
『今..!』
ユウ『元の世界の先輩に戻ってた..?』
リリア『マレウス..?マレウスはまだ、2本足の姿にもなれぬ赤ん坊で..うがっ!あ、頭が..!』
頭痛に苦しむたびに、周りの空間が歪んでいく。揺籃の塔も、隣にいたバウルも既に歪む空間に消えていった
マレウス『何も考えなくていい、リリア。お前がこれ以上苦しむ必要はない。どんな夢がいい?父と母が生きている頃の夢か?それとも、息子と共に穏やかに暮らす夢か?』
リリア『ううっ..やめろ..わしは、俺、は..!』
マレウス『この僕が、お前の望みを何でも叶えてやる。さあリリア、僕の手を..』
シルバー『親父殿ーーーーっ!!』
銀の咆哮が二人を隔てるように轟く。真横から割り込み、自分に立ち塞がるシルバーの姿に、マレウスは少し驚いた様子で伸ばした手をゆっくりと戻す
リリア『夜明けの騎士、なぜお前がここに!?うぐっ..違う、お主は..!』
マレウス『シルバー、セベク..またお前たちか。本当に寝つきが悪いな。まだ抗うというのか?』
シルバー『諦めません、絶対に!』
セベク『リリア様の想いを知れば、なおのこと。たくさんの愛によってお生まれになった若様が、この世界の敵となり憎まれていいはずがない!』
マレウス『お前たちもか?ユウ、レイラ』
ユウ『当然でしょ。ここまで見ちゃったら絶対に止めるから』
『...』
マレウス『レイラ。お前に見せた夢はお前にとって理想そのものだったはずだ。それでもシルバーたちと共に抗うのか?』
『..ん。ツノ太郎のこと、止める。もうこれ以上ツノ太郎にこんなことしてほしくない。元のツノ太郎に会いたい。
それに、私の夢は..きっと叶わないから』
最後の言葉は小さくなっていく声で聞こえることはなかった。しかし、真っ直ぐな瞳は自らへの反逆の意志が固く宿り、マレウスは少し悲しそうに眉をひそめた
シルバー『だから俺たちが絶対に打ち破ってみせます。マレウス様..あなたの"祝福"を!』