第91章 *内密コール*
?『早く医者を呼び、王子殿下をお診せするのだ』
?『ああ、王子殿下..お可哀想に。無能な近衛兵のせいでご両親を失ったばかりか、不浄な魔力を注がれてしまうなど』
?『王子殿下の御身に何かあったらどうするのだ!愚か者!』
次々と浴びせられる罵倒に、バウルも我慢の限界が訪れ、片手に武器を構え鋭い貴目つきで声を張り上げる
バウル『貴様ら..もう我慢ならん!その侮辱、今すぐ撤回していただこう!ヴァンルージュ殿がどれほどこの国を、ドラコニアを愛し、尽くしてきたか!』
リリア『..いい、バウル。これで良かったんだ。
これが、きっと正しい..
"正しい"?
ううっ、頭が割れる..!』
バウル『ヴァンルージュ殿、お気を確かに!』
ぐらりと体が倒れそうになるのをバウルが手を貸し抱きとめる。すると、上空から裂くような雷撃が二人の前に落ち、緑色の炎が燃え上がる
『『!?』』
ユウ『な、なに!?』
『..この匂い..もしかして
ツノ、たろ..?』
マレウス『こんなところにいたのか。ようやく見つけたぞ..リリア!』
禍々しい負のオーラを纏う出で立ち。右目に燃える炎を妖しく揺らめかせながら降り立ったマレウスは、目の前のリリアを優しく歪んだ瞳で見つめていた
リリア『その声は..レヴァーン!?お前、いつ帰って..いや、でもそのツノはマレノアの..
何者だ、てめぇ!』
マレウス『..知らなかった。お前が自らの命を糧に僕を孵してくれたなんて』
リリア『僕を..?何を言ってる?』
マレウス『元老院の老いぼれどもめ、よくもリリアを..おばあ様もだ!何故今まで僕に真実を隠していた!?』
リリア『違う、マレウス!口止めしたのはわしじゃ!真実を知れば、お前が負い目を感じるかもしれぬと..はっ!?』