第91章 *内密コール*
?『ヴァンルージュよ!よくぞ王子殿下の卵を孵化させた』
?『奇跡じゃ!まさにお主は英雄ぞ!』
リリア『..英、雄?』
突如聞こえてきた元老院たちの声が、リリアたちを囲みながら祝福と歓喜に満ちていく
かけられたことのない賞賛の言葉に呆然とするリリアに、元老院たちの声は変わらず彼を褒め称える
?『さあ、王子殿下と共に女王陛下の元へ参るがよい』
ズキッ!!!
リリア『うっ..!違う、俺は..わし、は..?ぐうっ..!』
頭に響く痛みに顔を曇らせる。それはセベクやレイラも体験した、この世界が夢だと気づき、"醒め"てきている証拠だった
すると、先程までリリアを賞賛していた元老院たちの態度が一瞬にして豹変した
?『ヴァンルージュよ!貴様、よくもその手でお世継ぎに触れたな!』
?『竜の卵に蝙蝠が魔力を注いで孵したなど..前代未聞の醜聞だ!』
?『高潔なるドラコニア一族を汚した罪は重いぞ!』
セベク『どういうことだ!?世界が歪んで、元老院たちが急に態度を変えたぞ!?』
シルバー『親父殿が..気づき始めたんだ。これが夢だと..!』
セベク『では..リリア様が実際に受けたのは祝福の言葉ではなく、あんな罵詈雑言だというのか!?』
シルバー『ああ、おそらく..』
ユウ『はあ!?200年もかけて孵したのに..』
『ひどい..っ!!』
目の前の光景に、セベクとレイラは怒りに体を震わせる。シルバーにも怒りはあるものの、悲しみのほうが強く現れ、その端正な顔を酷く落ち込ませた
そんな中でも、空間の歪みと元老院たちの罵詈雑言は止まない
?『2度と王子殿下に近づくな、蝙蝠め!早くそやつから王子を取り上げろ!』
マレウス(幼体)『キィイ〜〜〜!!』
リリア『あ..』
腕から取り上げられていくマレウスに、リリアは立ち尽くしたまま行き場のない手を小さく伸ばした