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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第91章 *内密コール*







リリア『マレフィシア様もきっと呆れてるぜ。マレノアは四苦八苦する俺たちを見て、あの世で高笑いしてんだろうな。そういや、レヴァーンも普段は優等生を気取ってたくせに..嫌いな野菜はよくテーブルクロスの下に隠してたっけ。本当、腹が膨れりゃなんでもいい俺とは大違いだ。親子揃って手間がかかるったらねぇな』


少ししてから、リリアはまた旅での話を語りだした。たった10年で様変わりする人間の発展の早さに驚いたのだと改めて自分でも思い出し、それがいつかマレウスが孵った時に、彼が生きづらい世界になると思うと、胸の奥がじんわりと締め付けられた


リリア『..生粋の妖精であるお前にとっては、どんどん生きづらい世界になるかもしれないな。

..またすぐに発つ。次こそはお前を孵す方法を見つけてくる。だからそれまで..』







眠れや 眠れ 愛し子よ お前がどうか 夢の中導く



光へと 歩むように







あの日、マレノアが卵を抱きしめながら歌っていた子守唄を口ずさむ。彼に穏やかな眠りが訪れるように、そして早く生まれてくるようにと願いを込めた歌声が、誰もいない揺籃の塔に響いた






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その日リリアが訪れたのは、かつて竜が住んだという伝説が残された渓谷だった


しかし、渓谷にそびえ立つ城は廃城になっており、人の気配はなく月明かり照らす暗夜に蝙蝠の影が飛び交うだけだった


幾年もかけて探し出した場所だというのに、手がかりどころか住人の姿さえない現状に、深い絶望とここまでの道のりで蓄積された疲弊感が一気に襲い、力なくその場に膝をついた


リリア『ちくしょう!何年もかけてたどり着いたってのに、無駄足か!』


ギリッと奥歯を噛み締め、拳を握る手が地に跡をつける。振り絞るような叫びが廃城の空に響く


リリア『少しでもいい。何か手がかりになるものはないのか?妖精も虫もいないなら、城の家具でも敷物でもいい。俺に教えてくれ!ドラゴンの卵を孵す方法を!こうしてる間にも、あいつは弱り続けてんだ!






誰でもいい、何でもいい..頼む..教えてくれ!』



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