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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第90章 *難航トランスポート*





バウル『くっ..元老院め!

お待ちください!その卵、もしもの時は右大将殿が孵すようにとマレノア姫様は仰いました!いかに元老院のお歴々といえど、ドラコニアの勅命に背くことは許されぬはず!』




バウルの必死の食い下がりにも元老院は何も答えず、卵は宙に浮きながらリリアの手を離れると、ふわりと光を残して消えてしまった


その様子を、リリアは感情の読めない顔で消えていった先を見つめるだけだった






リリア『...じゃあな、マレウス』






『...』


元老院たちの気配が消え、辺りに静けさが戻る。だがその静けさはかなり気まずいもので、誰も口を開こうとしなかった


レイラは俯いたまま手を握りしめ、晴れない怒りに身を焼かれそうになりながら、爆発しそうな感情を必死で抑える


『ーーーーっ!!』


ユウ『レイラ』


魔力による圧は消えたものの、触れれば牙を向かれ食い殺されるのではないかと思うほどのオーラを纏うレイラに、勇敢にもその体を抱き寄せ落ち着かせるように背中をトントンと叩いた


『..許さない。こんなの..』


ユウ『うん、許せないね。僕もすごくムカついた。でもレイラは偉いね。僕が魔法使えてたらあの人たちが見えなくても、なんとかして炙り出してボコボコにしてたよ』


『ぅぅ..ユウ、私..もう、やだ..っ』


ユウ『うん、やだね。ツラいよね。よしよし..』


胸元から聞こえる苛立ちと悲しみに苦しみを吐き出した声に、ユウは優しく労るように撫でてやった








マレウスの消えていった先をしばらく見つめていた後、リリアは徐ろに立ち上がると城に背を向けて歩き出し始める


バウル『はっ!う、右大将殿!一体どちらへ!?マレノア姫様の勅命を、反故にされるおつもりですか!』


リリア『..俺はもう、近衛兵じゃねぇ。姫君の勅命に従う義理もねぇだろ』


バウル『そんな..!』


リリア『もうここに俺の居場所はない。守るべきものも、ない..』



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