第90章 *難航トランスポート*
『ーーーーは?』
ユウ『っ、このっ!!さっきから黙って聞いてれば..リリア先輩がどれだけ心を痛めてここまで来たと思って..!』
次々と浴びせられる罵倒の数々にユウの手が怒りで強く握られる。リリアのここまでの道のりの険しさと辛さを知っているがゆえに、元老院たちの情のない言葉が許せなかった
セベクやシルバーたちも、言葉にこそ出さなかったが、その内には今にも爆発しそうな怒りが募っていた
だが、彼らの怒りよりも更におぞましく煮えたぎるドロドロとした感情がレイラの中に溢れ出す
その瞬間、全員の背に今まで感じたこともないほどのゾッとする寒気が走る。全身の血が一気に引いていくような感覚に、恐怖にも似た感覚が彼らを襲った
『『『っ!!!!』』』
『なに、言ってるの?なんでそんなこと言うの?お姫様もリィさんも、すごくつらい思いをして、それでも卵を守るために必死に頑張ったのに、なんでそんな酷いこと言うの?
…ねぇ、何もしてないくせに、何も知らないくせに、なんでそんなこと言えるの?』
パキパキパキ...!!
ミシッ..!!
バウル『な、なんだ?この凍えそうなほど冷えきった魔力と威圧は..城が、空気が軋んでいる..?』
リリア『レイラ..?』
『何も知らないくせに、勝手なことばっかり..イライラする。
黙ってよ..どっか行ってよ..』
元老院『この強大な魔力と圧は..』
元老院『!!なんと..黒兎がいるではないか。かつて、茨の国の村を救ったという強大な魔法士』
元老院『しかし、所詮は獣が人の形を成した卑しい存在。ああ、なんということ!汚れた蝙蝠だけでなく、そこの半端者までお世継ぎに触れたというの!』
元老院『なんと..二匹の穢らわしい者に触れられるとは、お世継ぎまでその穢れを移す気か!?』
元老院『早くお世継ぎをこちらに!』
ユウ『..あ?ふざけんなよ!先輩だけじゃなくてこの子にまでそんな酷いこと..ってちょっと!!』
グリム『あっ!リリアの腕から卵がすり抜けてふわふわ飛んでいっちまう!』