第90章 *難航トランスポート*
鉄の者『妖精どもの野営地を見つけたぞ!総員、突撃ー!』
鉄の者『はっ!あの人間が持っている大きな黒い卵..まさかドラゴンの卵ではないか!?』
鉄の者『山に入った15隊のうち、我が隊が卵を発見できるとは、なんたる幸運!』
鉄の者『必ず手に入れろ!かかれー!』
こちらの持つマレウスの卵を見つけるやいなや、武器を振り上げ一斉に攻めてくる鉄の者たちに、辺りは混戦状態に陥る
グリム『ぐぬぬ〜!どいつもこいつも、話をややこしくしやがって!』
シルバー『こうなっては仕方ない。グリム、ユウ、レイラ、切り抜けるぞ!』
『..落ち着いて、大丈夫。殺さないように、ちょっと、ちょっと脅かすぐらいに..』
ユウ『レイラ、大丈夫だよ』
目の前で繰り広げられる戦いに胸の奥がざわめく。深呼吸して落ち着けるレイラの背にユウの手が優しく添えられる
それだけでどこか安心できるような、荒ぶる気持ちが凪いでいく感覚がレイラを包む
『ん、大丈夫。すぐに、終わらせるから』
シルバー『ふぅ..なんとか銀の梟を追い払うことができたな。しかし..まさか山に入った部隊が15隊もいるとは。ここでのんびりはしていられないな。すぐに発とう』
近衛兵『オマエ、テキジャナイ?テツノモノ、タオシタ..』
グリム『だからオレ様たちは敵じゃねーって何度も言ったんだゾ!』
シルバー『傷を負ったヴァンルージュ殿と、お世継ぎの卵を黒鱗城へ送り届けたい』
『(あれ..?)』
シルバーの言葉に近衛兵たちは一度集まりコソコソと相談するように話すと、先程までの警戒心に満ちた空気を消してコクリと頷いた
近衛兵『ワカッタ、ワタシタチ、テキ、サガス、タオス。オマエタチ、シロ、ムカエ。ナカマ、トオクカラ、オマエタチ、マモル』
グリム『えぇっと..おめーらが銀の梟を探して、ぶっ飛ばしてくれるってことか?』
シルバー『ああ。しかも護衛までつけてくれるようだ』
近衛兵『コウゲキ、スマナイ。ヨルノシュクフク、アレ』
シルバー『..ありがとう。あなたたちにも、夜の祝福あれ』
『ありがとう、優しい妖精さんたち』