第90章 *難航トランスポート*
ザッザッザッ..
『足音..あの人たち』
グリム『どうする!?』
シルバー『前方の茂みに隠れ、通り過ぎるのを待つ。そして..油断している奴らを背後から襲い、こちらの被害を最小限にしつつ勝利する』
ユウ『奇襲作戦ですか。先輩って意外とそういうことするんですね』
シルバー『ああ。各個撃破して数を減らしておかないと、後々包囲される危険性が高まる。こう思うと..口調こそ違うが、現役時代と言っていること自体は、あまり変わっていなかったんだな。親父殿は..』
師であり父親でもあるリリアからの変わらぬ教えに笑みを浮かべると、雨の当たりにくい木の陰にユウとリリアを残し、通り過ぎていく鉄の者たちの背後から警棒を構える
『...』
シルバー『大丈夫だ。少し気絶させられればいい。力まず、心を落ち着けるんだ』
『..ふぅ..ん、大丈夫』
シルバー『良い子だ。
...来た。行くぞ!』
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『何か見えてきた』
シルバー『あれがヴァンルージュ殿が言っていた野営地か?』
近衛兵『ギャギャー!!ギャルル!!』
建物に近づくと、見張りで立っていた近衛兵たちが走り寄る。明らかに警戒している声でこちらに話しかけてくるが、セベクのいない今、古い妖精語を理解できるものはおらず、何を言われているのかが分からなかった
グリム『おーい!リリアを連れてきたんだゾ。早く手当てを..』
近衛兵『ニンゲン、テキ!ナカマ、カエセ!』
『どうしよ..セベクいないと分かんない』
今にも襲いかかってきそうな雰囲気に後ずさりすると、隣の茂みから鈍く光る銀の甲冑が顔を出した