第12章 *終曲ハーツラビュル*
『愛してるよ...うん、私もユウ達のこと愛してる』
強く抱きつかれたので僕も抱き締め返すと、幸せそうな顔で笑うものだから、さっきまでの興奮が良い意味で落ち着いてきた
ユウ『怪我してるのに無理させてごめん...ゆっくり休んでね。側にいるから...』
『ん...ユウも...お疲れ...様...』
寝かしつけるように撫でると、段々と瞼が落ちてきて、数分のうちに可愛い寝息をたて始めた
ユウ『歪な関係を築いてごめん...許してなんて言わないよ。レイラ...愛してるよ』
額にキスをして僕もそっと目を閉じて眠りについた
〔No side〕
数日後
ハーツラビュル寮・パーティー会場
エース達の片付けの甲斐もあって、あの日リドルによって無惨な姿になったバラの迷宮も元通りになっていた。そこを通り抜けた先のパーティー会場では、エースの要望通り"何でもない日"のリベンジが開催されていた
ラッパが鳴り響き、寮生の言葉と共にいつも通りの凛としたリドルが姿を表す
リドル『うん。庭の薔薇は赤く、テーブルクロスは白。完璧な"何でもない日"だね。ティーポットに眠りネズミは...って。いや、いなくてもいいか』
フッと息をはき微笑むリドルは、以前とは違って言葉も態度にも柔らかい印象があった
トレイ『そんなに急に変えなくたって良いさ。ジャムはネズミの鼻に塗らなくたって、スコーンに塗れば良い。絶対ないとダメ、じゃなくてあったっていい、にしていけば良いだろ?』
リドル『うん、そうだね』
トレイとの会話にも、以前は見られなかった穏やかな雰囲気が流れていた
『エース、デュース、パーティーの準備お疲れ様』
エース『超疲れたんだけど』
デュース『まあ、今は寮長の体調も何事もなく回復したわけだが。レイラ、怪我の方は大丈夫か?』
『ん...かすり傷だけだったし平気』
ユウ『無理はダメだからね』
分かってる、とユウの腕にくっついているレイラにエースは少しの違和感を感じた
エース『最近ベッタリだなオマエら』
ユウ『少し進展したから、かな?』
エース『は?何それどういう』
『リドルさんのとこ行ってくる』
エース『レイラ!逃げるな!』