第90章 *難航トランスポート*
『...優しくない。あの人たちの声聞いてるとイライラする..それだけ』
ユウ『レイラ..』
シルバー『それでも俺は、俺たちはお前が優しいやつだと思っている』
『.....ごめん』
ゴロゴロゴロ...
ビシャーーーンッ!!!!
『ひっ!!』
ユウ『大丈夫!?怖かったね』
突然頭上を駆けた稲光が大きく音を立てて降り注ぐ。まるで怒りと悲しみを表すように何発も落ちる落雷に、あの恐ろしくも美しい魔女を彷彿とさせた
『..お姫様』
シルバー『きっとマレノア様が戦っているんだ。マレノア様が敵を引きつけてくださっているうちに、急いで親父殿に追いつかなくては』
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唸る雷鳴を頭上で聞きながら、シルバーたちは足跡を辿りリリアを探し続ける。道中、同じくリリアを探す鉄の者と出くわし、それを追い払いながら進む
足場の悪い道、打ち付ける雨、鉄の者たちとの戦闘、早くリリアに追いつかなくてはという焦り
その全てが一同の体力を奪い、そしてレイラの中の怒りや焦燥を高めていく
『(なんで..なんでこんな苦しいことばっかり。妖精さんが何をしたの?どうして酷いことばっかりするの?
全部、全部あの銀の人たちが..人間が悪いんだ)』
どこかで何かがひび割れる音がした
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『はぁっ..はぁっ..(リィさん見つからない。
セベク..ワニさん、大丈夫かな。二人ともお願い、無事でいて)』
シルバー『あの二人なら大丈夫だ。信じよう』
『シルバー、さん』
シルバー『今俺たちがすべきことは、親父殿を見つけて一刻も早く黒鱗城へと向かうことだ』
『...ん』
鉄の者『いたぞヴァンルージュだ!捕らえろ!』
鉄の者『倒れたぞ、囲め囲め!!』
『!!!リィさんが危ない』
シルバー『なに!?どっちだ?』
『えっと...あっち!』
雷雨で音が聞こえづらい中、必死で耳をそばだて鉄靴の足音を探る
指し示した方向へ走っていくと、そこには倒れ込むリリアとその周りを武器を構えながら迫り寄る鉄の者たちの姿があった