第12章 *終曲ハーツラビュル*
箍が外れたように次から次へと溢れ出す涙に、耐えきれずレイラは声を上げながらユウにしがみついた
エースは呆れながらも、内心泣き出すのは分かっていた。いや、この時は泣いてほしいと思っていたのだ
突然自分の知らない過去を見せられ、それが本当の親から激しく嫌われ、今まで親だと思っていた人が本当の親ではなかったともなれば尚更心にダメージを負う
更に、自分には周りを崩壊させてしまうほどの力を持って生まれた事を知って、その片鱗が先程目の前で現れた
自分には想像もできないほどの重圧とプレッシャー、これから何が起こるか分からない恐怖。そんなものに耐えられるわけがない
もしそれに耐えられるのだとしたら、レイラは感情を押し殺す事で成しているのだろう
エース『...良かった...マジで』
ユウ『暫くは無理しちゃダメだからね?』
『ん...』
エース『オレ達寮に帰るけど、また明日も会えるし遊びに来るからな』
『ん...』
デュース『何かあればすぐ駆けつける』
『ん...』
エース『だからな、』
『『手、離してくんね?/くれないか?』』
レイラがひとしきり泣いた後、もう夜も遅いということでエース達はハーツラビュル寮へと帰ることになったのだが、袖を強く掴まれ中々帰ることが出来なくなっていた
グリム『甘えん坊に拍車がかかってるんだゾ...』
エース『嬉しいけど...トレイ先輩達に呼ばれてんだよね』
デュース『改めて今日の事を話し合う為、だったか?』
ユウ『レイラ...明日また会えるから、離してあげよ?』
ね?とユウが笑いかけると、渋々手を離すも表情は浮かないままだった
エース『そんな顔すんなよ。帰りたくなくなる』
デュース『俺もだ』
『じゃあ...おやすみのキス、して?』
両手を広げハグを求めると、二人は嬉しさと呆れ9:1で彼女のお願いに応えた
『ん...』
エース『おやすみ』
『おやすみエース』
デュース『おやすみレイラ』
『ん...おやすみデュース』
キスを交わす3人の姿を後ろから見つつ、キスの光景が日常化してきたなぁとユウは密かに思ったとか