第88章 *緊急リターニング*
リリアの言葉で完全に確信した。その確信は彼の心を締め付け、握り潰し、絶望させるには充分すぎた
シルバー『はぁっ、はぁっ..!まさか俺の、俺の..血の繋がった肉親とは..っ!ぎ、銀の梟の..夜明けの、騎士の..っ!!
嘘だ..嘘だあああぁっ!!!』
激しい慟哭が雨空に響き渡る。理解してしまった自分の出自にシルバーの心が淀みを溢れさせ、それは闇となり彼の足元から一気に吹き出した
バウル『!?なんだこいつらは!?』
グリム『ふなっ!?見たこともない量の闇が現れたんだゾ!』
セベク『くっ..シルバーの感情に引き寄せられたか!
気を強く持て、シルバー!シルバーーっ!!』
『っ、シルバーさんだめ!!そっちに行っちゃだめ!!』
ユウ『レイラっ!!』
セベク『待て、行くなっ!!』
走り出したレイラを止めるためその腕に手を伸ばすが、一歩遅くその手は空を切る
シルバーへと駆け出しほぼ闇に呑み込まれている彼へと手を伸ばすと、闇は覆いかぶさるように2人を上から包み込んだ
リリア『シルバーとレイラが取り込まれちまったぞ!何なんだ、あいつらは!?』
セベク『バウル様!リリア様!奴らの相手は我らが!どうぞ先に森へ!シルバーたちと共に、必ずや追いつきます!』
バウル『しかし..』
セベク『大丈夫です、早く!』
リリア『くっ...!』
助けに行きたい感情と黒鱗城へと向かわなくてはいけないという感情がせめぎ合い天秤が揺れる。だが、自分たちを信じろと言わんばかりのセベクたちの表情に、苦渋の決断で背を向けると、リリアたちは目の前に広がる森へと走り去って行った
グリム『や、やべぇ!すっかり闇に取り囲まれちまったんだゾ!』
ユウ『っ、どうしよう..レイラが..』
セベク『2人を引き戻す!ユウ、グリム、手を貸してくれ!』
グリム『おう!』
ユウ『うん!!』