第88章 *緊急リターニング*
その声と共に積み上がった瓦礫が鋭い一撃の元粉々に吹き飛ばされる。そこにいたのは、リリアを守るように立つ夜明けの騎士がいた
リリア『ううっ..!』
夜明けの騎士『しっかりするんだ。卵は無事か!?』
リリア『夜明けの、騎士..?何故..どうして俺を助けた?』
敵であるはずの自分を身を挺して守った夜明けの騎士の行動が理解できず困惑していると、ピシッと音を立て夜明けの騎士の鎧にヒビが入る
バウル『はっ!夜明けの騎士の鉄面が..』
顔を覆う鉄面にも亀裂が入り、ついにはパリンと真っ二つに割れ地面に落ちた
『『『!!!!』』』
ユウ『うっそ..』
『な、んで..
シルバー、さん..?』
露わになったその顔は髪の長さや色は違えど、隣に立つシルバーに瓜二つだった
セベク『そ、その顔は!?』
シルバー『...っ!!』
グリム『ど、どういうことなんだゾ!?シルバーと夜明けの騎士..同じ顔してるんだゾ!』
ユウ『見て。二人とも同じ指輪を持ってる..どういうこと?』
互いの胸元で光る指輪に、夜明けの騎士は目を丸くしてシルバーを見つめる
夜明けの騎士『この指輪は、私が幼い頃守護妖精に授かったもの。世界に二つとないはずだ。君は、一体何者だ?』
シルバー『お、俺は..俺は..!』
『(おんなじ指輪..おんなじお顔..えっと、どういうこと?でも、シルバーさんはあの指輪はリィさんがあげたものだって..
もしかして...え、そんなこと..でも、そうかもしれない。あの人、シルバーさんの...だったら何で?)』
ある一つの仮定にぐるぐると頭を回していると、穴の空いた天井、外の戦線から激しい攻防の音が鳴り響く
夜明けの騎士『話をしている時間はなさそうだ。ヘンリク卿がその卵を狙っている。他の者に見つかる前に、行け!』