第88章 *緊急リターニング*
リリア『何を馬鹿なことを!はっ..!?』
突然部屋の魔力濃度が上がり薄暗くなると、窓や壁の隙間から黒々としたツタが壁や床を這いながらリリアたちに近づいてくる
グリム『何なんだゾ!?ツタがいっぱい入ってきた!?』
ユウ『な、なにこれぇぇ!!?』
『..へ?わわわっ..!』
リリア『この茨は..おいマレノア!馬鹿なことを考えるのはやめろ!』
足首に絡みつこうとするツタを魔石器で切り裂いていくが、次から次へと生えてきてはこちらへと迫りくる
マレノア『マレウスはいずれ、この茨の国に暮らす妖精を明るく照らす吉星に..そして、人間どもにとっては恐れるべき凶星となるだろう』
茨のツタはマレノア以外の全員に絡みつき、意志を持つように大広間から追い出そうと波のように押し流していく
セベク『体に茨が巻き付いて..引きずられている!』
バウル『姫様!こんなことはおやめください!姫様ーーーっ!!』
シルバー『くっ..!ダメだ!体が、茨に押し流される..っ!』
後方にいたシルバーたちは成すすべもなくツタの海に拐われ、次々と流され姿を消していく
『ぅ..く..おひめ、さま..っ』
マレノア『さすがは黒兎というべきか?わたくしの魔法に僅かとはいえ耐えるのか』
纏わりつこうとするツタを障壁魔法で防ぎながら耐えるが、魔力の差は歴然ですぐにも足をとられ流されそうになっていた
『だめ、だよ..行っちゃ、だめ。ツノ..赤ちゃんが、待ってるのに..リィさんだって』
マレノア『お前風情にわたくしたちのことを言われる筋合などない。それに、わたくしの選択は間違ってはいない。大事な子だからこそやつに預けるのだ。
さあ、お前も早く出ていくがいい。黒兎であるお前は今ここにいるべきではない。ヘンリクや他の人間どもに利用されるだけだからな』