第88章 *緊急リターニング*
セベク『どうした、急に立ち止まって』
『..鳥さんの声』
セベク『なんだと?』
シルバー『あの部屋からだな』
微かに聞こえる鳥の声に気づいたレイラとシルバーは、音の出処の部屋の扉をそっと開ける
するとそこには鳥かごに入れられた梟や鳩などが何羽も置かれていた
グリム『なんだこの部屋?鳥がいっぱいいるんだゾ』
セベク『そうか。この時代の人間は、遠方とのやり取りに鳩や梟を使っていたはず』
シルバー『ひどく腹を空かせているようだ。もらったパンを少し分けてやろう』
鳥たちが少し痩せていることに気づくと、包みからパンを取り出し少しずつ千切って与えてやると、鳥たちは嬉しそうにパンを飲み込み始めた
セベク『ちっ、鳥に餌などやっている場合か。早く箒を見つけて..はっ!待てよ、この鳥..使えるのではないか?』
グリム『えぇ?こいつら、みんなシュッとしてて食っても美味くなさそうなんだゾ』
セベク『そういう意味ではない!!
おい、シルバー。やたらと動物に懐かれる貴様の特技が役に立つ時が来たかもしれないぞ』
シルバー『..え?』
何か策を思いつきニヤリと笑うセベクに、一同は小さく首を傾げた
ーーーーーーーーーーーーーーーー
暫くして策の仕掛けを施し箒と担架を見つけると、急いでバウルたちの元へと戻ってきた
セベク『バウル様!箒と担架を発見しました』
グリム『それから食いもんも持ってきたんだゾ』
バウル『む..ご苦労だった』
シルバー『ヴァンルージュ殿の容態はどうですか?』
バウル『まだ戦える状態ではない..しかし、砦柵の外では今まさに銀の梟が右大将殿を討ち取らんと準備を整えているだろう。もはや一刻の猶予もない。覚悟を決めて中央突破に打って出るほかあるまい。
私が先頭で道を開く。お前たちは離れず後に続け!』
セベク『バウル様、そのお役目..どうか我らに任せてはいただけませんか?』
バウル『な、何だと!?貴様らに務まるわけがない!あっという間に降り注ぐ鉄の矢の餌食になるぞ!』
セベク『ご心配には及びません。賭けではありますが..少々策がございます』