第88章 *緊急リターニング*
グリム『箒だ!箒を出すんだゾ! ぐひひ!』
料理人『ひっ、ま、魔獣が喋った!?』
ユウ『こーらグリム。怖がらせちゃダメ』
初めて見た喋る魔獣に怯える二人に追い打ちをかけようとするグリムを嗜めていると、シルバーは優しい口調で改めて危害を加える気はないと伝える
シルバー『怪我人をここから安全に運び出したい。そのために箒を探している』
料理人『怪我人って..妖精だろ?』
シルバー『..ああ、そうだ。貴方がたから見れば、敵..になるのかもしれない。だが..どうか、力を貸してもらえないだろうか』
自分たちを見つめるオーロラの瞳の穏やかな色に敵意は感じられないと感じ取ると、料理人の女性は少し考えたあと"分かりました"と頷いた
料理人『おい、お前!』
料理人『だって、あんた。この子たちをよく見てごらんよ。私らの息子よりずっと若いじゃないか。それに、あの耳..』
料理人『丸い耳!!人間か。じゃあ何で妖精の味方を?』
料理人『そんなの知ったこっちゃないよ。もしかしたら妖精に脅されてるのかも..』
料理人『うむむ..しかし..』
ぐ〜〜〜〜〜..!!
『『『....』』』
この状況にふさわしくない腹の虫が大きく唸り声を上げ、一同はそっと虫の出処の主へと視線を向ける
シルバー『セベク..』
セベク『..僕じゃない』
『お腹、空いちゃった?』
セベク『僕じゃない』
シルバー『分かるぞ、厨房に入ってからずっと良い匂いがしていたからな』
セベク『違うっ!!!ユウじゃないのか!?』
ユウ『んなわけないでしょうが』
シルバー『いや、今のはお前だろう。あの轟音、聞き間違えるはずが..』
セベク『黙れ、シルバー!!』
料理人『..坊主ども。腹減ってんのか?』
セベク『っ、ちがっ!』
ぐ〜〜きゅるるる〜〜