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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第88章 *緊急リターニング*







『『『なっ..!!!』』』


リリア『..っ!急いで野ばら城へ戻るぞ..うぐっ!』


体を起こし立ち上がろうとするも、先程受けた傷が鋭い痛みとなって体中に走る。余りの痛みに苦悶の表情でガクッと膝をつくと、慌ててシルバーが駆け寄りその肩を優しく支える


シルバー『その体では無茶です!』


『リィさんだめ..休んでないと』


グリム『ふな..オレ様もう、見てるだけで気絶しそうなんだゾ〜』


リリア『うるせぇ!傷なんかに構ってられるか!どうせこの砦も囲まれてる。転移魔法が使える隊員を..往還士を呼べ。空間転移魔法で全員一気に野ばら城まで..!』



バウル『右大将殿のおっしゃる通り、それが最速で我らが野ばら城に戻れる方法..しかし、城まではかなりの距離がある。空間転移は肉体..そして意識までもを霊素に変換し、目的地で再び再構築する術。病や傷がある者には多大な負担がかかります。

いかに右大将殿でも、そのお体では長距離の空間転移には耐えられません!往還士には動ける兵のみを転移させ、我らは陸路で帰城しましょう』


リリア『馬鹿野郎、んな悠長なこと言ってる場合か!銀の梟の中には、夜明けの騎士がいるんだろ!?』


バウル『だからこそです!悔しいが、夜明けの騎士は非常に手強い。たとえ右大将殿でも満足に魔石器も握れぬ状態では、牙を抜かれた魔獣も同じ。それが分からない貴方ではないはずだ』


バウルの正論に悔しさと焦りに顔を歪めながら、リリアはギッと奥歯を食いしばった。誰よりもその想いを理解するバウルも逸る気持ちを押さえつけ、近衛兵たちとマレノアを信じようとリリアを諭す


リリア『..分かった。くそっ!』


バウル『皆のもの、撤退だ!衛生兵は負傷者の手当を!往還士は動ける隊員を大至急野ばら城へ転移せよ!急げ!右大将殿と私は陸路にて帰城する!』


近衛兵『『ギャギャーッ!!』』


バウル『野ばら城を..マレノア様を頼んだぞ、お前たち!』


近衛兵『『ガルル!!』』


大きく頷き、往還士の魔法によって数人の近衛兵たちはその場で光に包まれると一瞬で姿を消した。彼らを見送り野ばら城の方角へと顔を向けると、静かに彼らとマレノアへの無事を願い言葉を紡いだ


バウル『..夜の祝福あれ』




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