第87章 *懐刀インパクト*
バウル『その盗人猛々しい物言い..もう許さん!そこへなおれ!』
バウルを筆頭に近衛兵たちが魔石器を振り上げ、鉄の者たちに対抗しようと駆け出したその時、彼らの真横から一斉に闇の手がいくつもの伸び、鉄の者たちを掴み始めた
鉄の者『う、うわぁぁぁ!!』
鉄の者『なんだこの腕は!!』
セベク『!!レイラ』
隣でペンを掲げるレイラから溢れる黒いオーラに、明らかに怒っていると感じとりその威圧に背筋が震えた
『妖精さんたちを悪く言わないで。大事な山を壊してるのはそっちでしょ。
ねぇ、ごめんなさいって言ってくれたら、何もしないで離してあげるから..今すぐ謝って』
鉄の者『やめろ!やめてくれ!!』
鉄の者『くそっ!離、れない!!』
行商人『な、なんだあの真っ黒な手は!?あの化け物の仕業。
..あ、あの姿は..!!』
闇の手を操るレイラの容姿を見た瞬間、行商人は信じられないものを見たように、腰を抜かして体を震わす
行商人『く、黒兎だ!!あの黒兎が何で化け物たちと一緒にいるんだ!?』
鉄の者『なんだと..黒兎!?』
鉄の者『あの強大な力を持つ魔法使いが、妖精たちの仲間になったというのか!?』
鉄の者『さ、最悪だ!黒兎があいつらの味方になってしまったら..我々にはもう、勝ち目なんてないぞ..』
レイラの素性に、あれだけ果敢に攻めこもうとした鉄の者たちから破棄が消え失せ、闇の手に掴まれたままダランと体の力が抜ける
『...』
町の住人『嘘でしょ、黒兎があんな事するなんて..』
町の住人『ど、どうしてあんな化け物たちを助けて...私達人間の味方じゃないの!?』
町の住人『黒兎ほどの魔法使いが敵になったら、次は俺達に牙を向いてくるぞ!』
町の住人『だが、聞いたことがある。他国では戦争に黒兎が参加し猛威を奮って、敵国を一夜で消し炭にしたらしいぞ!』
町の住人『なんだと!?た、頼む!この街を消すのはやめてくれ!!』