第87章 *懐刀インパクト*
バウル『わ、私は改善してくれなど頼んでおりません!!それに、先程から一言も発しないので、何かを企んでいるのかと..』
リリア『テメーのその顔が怖いんだよ』
『ごめん。何お喋りしようか考えてなくてどうしようってなってた』
リリア『おい』
すかさずツッコみが入りムニぃと片頬を摘まれた。軽く抵抗するとすぐ離され、少し赤くなった頬をさすりながらもう一度バウルを見上げる
『...ん〜..』
リリア『ったく、先に考えとけよ。あまり時間はねぇ、さっさと話して和解するなりじゃれ合うなりして終わらせろ』
『リィさん、なんか適当だね』
リリア『誰かさんたちが安眠妨害してきたからな。それに、テメーらの関係性がどうなろうが知ったこっちゃねぇんだよ』
いいから早くしろ、と背を向けて少し離れたところで腰を下ろすと背後の木に背を預けた
口では言ったものの、何だかんだレイラのことが気になり、何かあったらすぐ駆けつけられるようにしている所が、彼の隠しきれない優しさを表していた
『えっと..ワニさん』
バウル『なんだ』
『この前は..えっと、ごめんね?』
バウル『は?何故貴様が謝る?私は貴様を殺そうとしたのだぞ。そんな相手に謝るなど、一体何を考えている?』
『だって、ワニさんは私のことが分からなくて怖かったんでしょ?だから、怖がらせてごめんねってこと..』
バウル『..馬鹿にしているのか?』
『ううん、全然。分かんないことは怖い、何考えてるか分かんない人も怖い..私もそうだから。
何回も違うって言ってるのに、何でワニさんは私を疑うのかも、何で痛いことしてくるんだろって思って..分からなくてすごく怖かった』
バウル『...』
『私、どうすれば私はワニさんたちの味方だって信じてくれるか考えてた。でも人を操る黒兎の力って、私がそうしたいって思ってない時にも出るから、"こうすれば出来ない"っていうのはないの』
バウル『無意識にも、だと?余計に質が悪い』
『だから、もしかしたら知らないうちにそうさせちゃったかもしれない。それは私も分かんないから、どうしようもできないの。それは分かってほしい』
今までにないほど真剣な声色と表情に、初めこそ疑っていたバウルも僅かに信じてもいい、と思い始めた