第87章 *懐刀インパクト*
聞いてくれるか?と問うと、コクリと小さく頷いた
シルバー『ありがとう。
この夢の中で..いや、親父殿の送別会が始まった時から、お前のことはとにかく守らなくてはいけないと心に刻んで今の今まで行動してきた。だがそれは、俺の意思でそう思ったわけじゃない』
『...』
シルバー『実は..』
〜数日前。ディアソムニア寮・リリアの部屋〜
旅立ちを前に、部屋の整理を3人でしていたときのこと。ふと思い出したように顔を上げたリリアは、"話がある"と片付けを手伝うシルバーとセベクを呼びだした
シルバー『それで、話とはなんですか?』
リリア『実はおぬしたち2人に頼みたいことがある』
シルバー『頼みたい、こと..?』
セベク『リリア様からの頼みごととあれば!なんなりと仰って下さい!』
リリア『うむ。では、ある人物の警護を頼みたい』
シルバー『警護、ですか?それはいったい..』
リリア『マレウスの友にして、伝説の黒兎の末裔である、レイラ・フィリアスじゃ』
『『!!??』』
シルバー『あの女子生徒ですか?』
セベク『な、なぜあのような者を僕たちが守らなくてはいけないのですか!?若様やリリア様に不遜な態度をとる生意気なやつに..』
リリア『これ、口を慎まんか。おぬしたちの主となるマレウスの、数少ない友人に向かって』
セベク『うっ..失礼、しました』
リリア『ともかくあの子は、この学校唯一の女子生徒で、男だらけの学園生活で何かと不便や不安はあるじゃろうし、なによりあの子はあの伝説の黒兎。知っているものは少ないが、それでも今や数少ない種族である彼女は、どんな悪意に脅かされるか分からん』
シルバー『昔、親父殿が仰っていた、兵器として利用される..ということですか?』
リリア『そう。悪意の数だけあの子は利用される。なので、おぬしたちが学園にいる間だけでも良い。あの子を守ってやってほしい』